津波を「レーザー光」と「海面のブイ」で観測する新システム…能登半島地震きっかけにNECが開発

AI要約

NECがレーザー光と浮標を組み合わせた潮位測定システムを開発。地盤隆起や津波による観測途絶えを契機とし、2025年度中の実用化を目指す。

従来の観測方法では地盤変動に弱く、位置がずれると正確な測定が難しかったが、新システムは影響を受けにくく、潮位を高精度で測定可能。

光通信技術を活用し、光の増幅や不要な光の弱化などで精度を向上。東京港での実証実験では誤差が2センチ程度となり、有効性が確認された。

 NECはレーザー光と海面に浮かべた浮標(ブイ)を使い、潮位を高い精度で測定する新たなシステムを開発した。1月の能登半島地震で地盤隆起が起き、津波を含む潮位の観測が長期間途絶えたことが契機となった。国や自治体の利用を想定し、2025年度中の実用化を目指す。

 従来の観測では海面に真上から電波を当て、反射して戻ってくるまでの時間などから潮位を測っている。海岸に固定する装置が主流のため、地盤変動で位置がずれた場合に正確な観測が難しくなり、復旧にも時間がかかる。能登半島地震では海底が露出するほどの地盤変動が起き、観測不能に陥ったケースがあった。

 新たなシステムは、陸上の装置から赤外線レーザー光を照射し、数十~数百メートル先の海面に浮かぶブイと近くの岸壁や建造物の位置を測定。両者の位置の変化を比べて潮位を測る仕組みだ。地盤変動の影響を受けにくく、被害の正確な把握に役立つと期待される。

 光通信に強みを持つNECは、測定のために必要な光のみを増幅させ、日光など不要な光を弱める技術を使って精度を高めた。6月に東京港で潮位の変化を調べる実証実験を行ったところ、既存のシステムとの誤差は2センチ程度に収まったという。