NICTとKDDI、大規模言語モデルに関する共同研究を開始。ハルシネーション抑制と地図情報の取り扱いを目指す

AI要約

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とKDDI株式会社が大規模言語モデル(LLM)の共同開発を開始し、ハルシネーションの抑制や地図画像の活用などの課題を克服することを目指す。

NICTは2023年にLLMに関する研究開発を本格化させ、蓄積したデータを活用してLLMの試作を行った。KDDIは生成AI開発のための計算基盤整備や日本語LLMの開発を進めてきた。

NICTとKDDIはデータや技術を共有し、ハルシネーション抑制技術やマルチモーダルAI技術を活用して研究開発を進める。具体的には、技術の高度化や地理空間情報の取り扱い技術の開発を行い、システムの信頼性向上や通信事業者のサポート改善を目指す。

NICTとKDDI、大規模言語モデルに関する共同研究を開始。ハルシネーション抑制と地図情報の取り扱いを目指す

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)とKDDI株式会社は7月1日、大規模言語モデル(LLM)における共同開発を開始したと発表した。

 両者の持つデータと技術を組み合わせて、ハルシネーションの抑制、地図画像の活用という、現状のLLMが持つ課題を克服することを目指すことが、共同研究の概要として言及されている。

 NICTは2023年からLLMに関する研究開発を本格化させ、2023年7月にLLMの試作について報道発表を行った。また、これまでに蓄積してきた600億件以上のウェブページのデータを活用し、LLMの事前学習に用いるデータの整備を進めてきた。

 一方、KDDIは生成AI開発のための大規模計算基盤の整備を開始するとともに、オープンモデル活用型の日本語汎用LLMおよび領域特化型LLMの開発体制を整えてきた。

 NICTが蓄積してきたデータや、そこから作成したLLMの事前学習用データなどを共有。KDDIが開発してきたハルシネーション抑制技術やマルチモーダルAI技術をもとに、研究開発を進める。

 具体的には、ハルシネーションを抑制する技術を高度化するための技術を開発するとともに、日本の地理空間情報などのマルチモーダルデータをLLMで取り扱う技術を開発。これにより、システムの信頼性を向上させる。また、対話における対象の位置関係の把握がより適切に行えることで、通信事業者のサポートにおいて問題が発生しているエリアを迅速に把握できるなどの効果が期待できるという。