「病による悲しみ減らしたい」と孫正義氏 SBG、がん治療プラットフォームの米Tempusと合弁会社設立

AI要約

ソフトバンクグループはAI医療事業を手掛ける米Tempus AIと提携し、日本で新会社を設立する。TempusはAIを活用したがん治療診断プラットフォームを提供し、米国の数千の病院がサービスを導入しており、遺伝子検査データや患者データをもとにパーソナライズされた治療選択肢を提供している。

Tempusは2015年に設立され、遺伝子検査サービスや医療データ収集、AIによる治療選択肢の提供などを行っている。病院間で異なるカルテデータを統一する独自のアダプターを開発し、患者データを匿名化して蓄積。患者の96%に対して最適な治療選択肢を提示できる。

サービスは病院に無償で提供され、製薬会社に患者データを提供することで収益化。インフォームドコンセントを可能にし、製薬会社には新薬の開発期間の短縮やデータ収集コスト削減が見込まれている。

「病による悲しみ減らしたい」と孫正義氏 SBG、がん治療プラットフォームの米Tempusと合弁会社設立

 ソフトバンクグループは6月27日、AI医療事業を手掛ける米Tempus AIと提携し、日本で新会社「SB TEMPUS」を設立すると発表した。TEMPUSは、AIを活用したがん治療診断プラットフォームを提供しており、すでに米国の2000以上の病院がサービスを導入。米国のがん患者の半数にあたる770万人がTEMPUSのプラットフォームを使った診断を受けているという。

 Tempusは2015年に設立。遺伝子検査サービス、医療データ収集とAIによる解析の他、患者のパーソナライズデータをもとに、医師に対しAIを活用した治療選択肢のレコメンドをリアルタイムで提供するという大きく3つのサービスを提供する。すでに米国の2000を超える病院にサービスを提供しており、米国のがん患者の50%にあたる770万人のデータ(遺伝子検査データ、電子カルテ、CT/MRIの画像データ、病理データ)を蓄積しているという。

 Tempusでは、病院ごとに異なるカルテデータを横断して活用するために、独自のアダプターを開発。患者データを匿名化した上で統一した記述に変換でき、病院側はカルテを改修する負担なく、膨大な患者データをもとにしたがんの分析結果を利用できるという。マルチソースの患者データを集約しているため、遺伝子検査を行った患者の96%に対し、最適な治療の選択肢を提示できるとする(遺伝子検査のみの場合は27%)。

 病院側はサービスを無償で利用可能。膨大な患者データと、AIによる高精度な治療選択肢の提供により、インフォームドコンセント(医者から患者に対し症状。治療について十分な情報共有を行った上で合意に至ること)が可能としている。マネタイズについては、膨大な患者データを製薬会社に提供することで収益化しており、製薬会社にとっては新薬の開発期間の短縮や、データ収集に関するコスト削減が実現するとしている。