孫会長、父の死きっかけに「悲しみ減らしたい」 ソフトバンクG、医療支援で新会社 AI活用し遺伝子検査など支援
ソフトバンクグループは、医療データをAIで解析して個別化医療を支援する新会社を設立することを発表した。
新会社は、米国のAI企業Tempusとの合弁契約により設立され、遺伝子検査や治療提案を通じて日本医療の底上げを目指す。
孫正義会長兼社長は、がん治療の向上を目指す新会社を通じて、1人でも多くの命を救いたいと述べた。
ソフトバンクグループ（SBG）は27日、医療データを人工知能（AI）で解析して患者一人ひとりに適した医療の提供を支援する新会社を8月に立ち上げると発表した。AIと精密医療を手がける米Tempus（テンパス）と合弁契約を結び、それぞれ150億円を出資。同社が米国で蓄積した知見や技術を日本で活用。遺伝子検査やAIによる治療提案のほか、がんゲノム医療を担う中核病院と連携し日本医療の底上げを目指す。
テンパスは2015年に設立され、AIを使った個別化医療に取り組んでいる。米国の約50％の腫瘍医と連携し、業界最大規模の医療データを保有。製薬会社の創薬活動などを支援している。
新会社の社名は「SB TEMPUS」で8月1日に設立する。資本金は300億円。株式は両社が50％ずつ所有する。
テンパスが蓄積した患者識別データにはアクセスせずに応用し、遺伝子検査、医療データの収集・解析、AIによる治療提案といった個別化医療を支援するサービスを日本国内で順次提供していく。
SBGの孫正義会長兼社長は「私の父も去年肺がんで亡くなった。体中に転移し最後はもう壮絶な死だった。毎日泣いていた」と設立のきっかけを明かし、「この悲しみを減らしたい。1日も早く1人でも多くの命を助けたい。日本のがん治療が夜明けを迎えるきっかけにしたい」と力を込めた。
今後は、がんゲノム医療の中核を担う拠点病院や製薬会社、保険会社といった医療関係機関と協力し、病院の垣根を超えたネットワークの構築を目指す。
