月組トップ月城かなと 黒えんびで大劇場に別れ、礼真琴から花束 東京千秋楽まで「涙こらえて」

AI要約

月城かなとと海乃美月が宝塚大劇場での千秋楽を迎え、感謝の気持ちを伝えながら別れを告げた。

月城は黒えんび姿で大階段を下り、舞台の神様の見守りを感じながら最後の公演を終えた。

退団する海乃も笑顔で感謝の気持ちを述べ、14年の宝塚人生に幸せを見出していた。

 月組トップ月城かなとが5月12日、相手娘役の海乃美月らとともにサヨナラ公演「ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』」「レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』」の兵庫・宝塚大劇場千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。サヨナラショーを終え、最後の大階段は黒えんび。終演後、会見に臨んだ。東京宝塚劇場は6月1日~7月7日。東京千秋楽をもって退団する。

     ◇    ◇    ◇   

 -最後の大階段、黒えんびを選んだのは

 月城 まだ東京公演がございますので、トップとして、男役として。(芸名ではない)自分に戻るには早いと思いました。

 -飾りっ気のないシンプルな黒えんび

 月城 (亡くなった)羽山(紀代美)先生が「黒えんびは飾りなしで。それが一番すてきに見える」と。その思いを受け止めて。

 -「舞台の神様がいた」と。いつ感じたか

 月城 今日まで無事に公演ができたこと、千秋楽の日に組のみんなが楽しそうに舞台ができていること、そして無事に幕が下りた。いつもは、トップとしてきちんと最後まで幕を下ろさなければという気持ちで過ごしていたんですけども、今日は「1人の退団者として」という気持ちも。こうやって無事に大階段を下りて、ごあいさつができることに、舞台の神様がきっと見守ってくださっていたんだなと思いました。

 -あふれそうになる思いは、どう抑えていた?

 月城 舞台の最中は集中していたんですけど、涙はこらえて、それよりも感謝の気持ちを伝えたくて。自分の感謝の気持ちがきちんとお客さまや、組のみんなに伝わればいいなと思って…。ちょっと泣きそうになってしまった時もあったんですけど。

 -最後に大階段から見た景色は

 月城 私より前の退団者が下りるのも、(陰で)見守っていまして。名前を呼ばれすがすがしい顔で下りていく横顔が、自分が階段を下りて見た景色よりも、よく覚えています。それに力をもらって自分も階段を下りることができました。

 -同期からの花束は星組トップ礼真琴だった。どんな会話を?

 月城 秘密です。

 -宝塚大劇場は、どんな場所だったか

 月城 温かさ、大きさ、包んでくれる。初舞台の初日、幕が開いて見た景色、ずっとこの劇場でいろんな経験をして育てていただいた。本当におっきく包んでくれるような劇場でした。

 -次期トップ鳳月杏さん、雪組で一緒だった永久輝せあさんは花組の次期に決まった。メッセージは

 月城 私から、えらそうに伝えることは…。ただ、こないだ、機会がありまして「宝塚の殿堂」に行かせていただいた時に、本当にたくさんの方々が今まで宝塚を作ってこられたんだなって。それがつながって、今がある。その一員に自分がいることがとても誇らしく、うれしく思ったので、これからもずっと宝塚が皆さまに愛され、つながっていく。同じように、幸せに過ごしてほしい。

 -ファンにメッセージを

 月城 本当に皆さまのお顔を見て、こみ上げるものがたくさんありました。私を見つけて、ここまで応援してくださいまして、本当にありがとうございます。皆さまへの感謝の気持ちを、東京公演の舞台でも、精いっぱいお返しできるように、みんなと頑張ってまいりたい。泣くのはまだ我慢して、東京の千秋楽まで笑顔で頑張りたいと思います。【村上久美子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「宝塚~朗らかに~」)

 ■添い遂げ退く海乃美月も満面笑み

 月城に添い遂げて退くトップ娘役の海乃は、サヨナラショーも月城と2人で締めた。はかま姿で「走り続けた宝塚人生。待っていたのは、こんなにも温かくて、幸せにあふれる空間でした」と満面笑み。歌、踊りが好きで入ったこの世界。「壁にぶつかることも多々ありましたが、月組の仲間、尊敬するれいこさん(月城)、お客さまがいてくださったからこそ。14年、ありがとうございました」とあいさつした。