ミュージカル『ナビレラ』開幕。ダンサー役で三浦宏規が才能を発揮、初の老人役・川平慈英もバレエの虜に!?

AI要約

ミュージカル『ナビレラ─それでも蝶は舞う─』が開幕し、三浦宏規と川平慈英の初共演も話題に。バレエ団のリハーサル、老人役に挑戦する様子が明かされる。

70歳のシム・ドクチュルがバレエを習い始め、その姿に魅了される物語。キャストがそれぞれの役にぴったりで楽しい囲み取材の様子が描かれる。

バレエに挑戦する父親をサポートする息子、家族の絆や夢を追う姿が感動的に描かれる。若手俳優の初挑戦や音楽の力も絶賛される。

ミュージカル『ナビレラ』開幕。ダンサー役で三浦宏規が才能を発揮、初の老人役・川平慈英もバレエの虜に!?

ミュージカル『ナビレラ─それでも蝶は舞う─』が開幕した。WEB漫画を原作した韓国発のミュージカル、その日本版初上演だ。Netflixでドラマ化もされ人気を得た物語だが、先日第49回菊田一夫演劇賞を受賞した三浦宏規と、老人役に初挑戦という川平慈英の初共演も話題に。開幕前日にあたる5月17 日、ゲネプロの公開と、その直前には囲み取材が実施され、三浦宏規、川平慈英、岡まゆみ、狩野英孝の4人が舞台への思いを明かした。

若く才能あるバレエ・ダンサーながら、現実の厳しさを前にスランプに陥っているイ・チュロクを演じる三浦は、5歳からクラシック・バレエに取り組んできただけに、まさに適役。役柄について問われると、「いろんな取材で“俺しかいないと思います”と言ってしまい、自分の首を絞めた。めちゃくちゃ緊張しています」といまの心境を明かした。「でも、本当に宏規しかいないというのは初っぱなでわかります」とフォローしたのは川平。冒頭で展開されるバレエ団のリハーサル風景のことだ。遅れてやってきて皆の顰蹙(ひんしゅく)を買うも、次々とダイナミックな大技を決めて、才能を示す。

川平演じるシム・ドクチュルは70歳。友を亡くし、生きる希望を見失い、重たそうな足を引きずり気味に歩く様子が痛々しい。そんな彼が、ふと目にしたチュロクの踊りに魅せられ、昔憧れたバレエをやりたいと思い立つ。家族の冷ややかな反応をよそに、チュロクのいるバレエ団の団長(舘形比呂一)に訴え、チュロクからバレエの指導を受けることになったドクチュル。最初は反発し、面倒くさそうに老人を指導していたチュロクだったが、バレエを学ぶ喜びが全身からほとばしるドクチュルの踊り、老いてもなお夢を追い続ける姿に、心を動かされないはずがない。数々のミュージカルに出演してきた川平も、バレエに取り組むのは「ほぼ初めて」という。「でも、虜になりました。腰痛が治りました。本当にバレエは何歳でもできます。おすすめします!」と力をこめる。

さまざまな出来事を経て、ふたりの距離はどんどん近くなってゆく。岡演じるブンイは、夫ドクチュルのことを心から心配し、夫の先生であるチュロクを優しく迎え入れる。岡は、「一人ひとりが役にぴったりなんです。宏規くんもチュロクにぴったりだし、ドクチュルは慈英さん以外いません。英孝さんも心も顔もイケメンだと再認識させていただきました!」と笑顔を見せた。

狩野が演じるソングァンはドクチュルの次男。TV番組のプロデューサーで、70歳でバレエに挑戦する父親のドキュメンタリーを撮影、そのチャレンジに寄り添う。今回がミュージカル初挑戦という狩野。「ミュージカルは生バンドがあって、歌に入る前にはまず芝居をおさめてから、といったいろんなテクニックがある。そこを崩さないように歌うのは難しかった」と稽古を振り返るが、川平からは「彼には叶わないんです。ストレートで。ある意味、何にも染まっていないから、グッとくるんです」と賞賛コメントがあがった。

川平自身のバレエもグッとくる。チュロクとのマンツーマンのレッスン、バレエ団の皆とのリハーサルと、場面を重ねていくうちにどんどん上達。一つひとつの動きを大事に、丁寧に、心を込めて踊る姿が胸を打つ。「慈英さんは休憩中もずっと練習していた。バレエをやったことがないという人がどんどん上手くなっていく過程を見ているので、稽古を見て感動させていただいています」と三浦も絶賛だ。

バレエ団の団長、ムン・ギョングクを演じる舘形比呂一は、財政難のバレエ団を率いる苦しい立場にあるが、華やかな存在感で皆を牽引。チェロクに恨みを抱いている元サッカー仲間のソンチョル(瀧澤翼)は、夢を諦めかけた若者の苦しさを漂わせ、強い印象を残す。彼とチュロクとの関係も物語に大きく影響し、目が離せない。さらに、川平が「圧倒的でノックアウトされた」と賞賛した音楽の力は絶大。

年齢を問わず、勇気をもってチャレンジすること、夢を諦めないことの尊さを歌い上げる、心に響くミュージカルだ。公演は6月8日(土)まで、東京・日比谷シアタークリエにて。

取材・文:加藤智子 撮影:岩村美佳

<公演情報>

ミュージカル『ナビレラ』

上演台本・演出:桑原裕子

原作:「ナビレラ」作:HUN、JIMMY

オリジナル台本・作詞:パク・へリム

作曲:キム・ヒョウン

オリジナルプロダクション:ソウル芸術団

出演

イ・チェロク:三浦宏規

シム・ドクチュル:川平慈英

ドクチュルの妻:岡まゆみ

ドクチュルの次男、TVプロデューサー:狩野英孝

ドクチュルの長男、会社員:オレノグラフィティ

チェロクの元サッカー仲間:瀧澤 翼

ドクチュルの孫娘:青山なぎさ/井上音生(Wキャスト)

バレエ団長:舘形比呂一

久保貫太郎

市川絵美 岩﨑巧馬 岡山玲奈 河西茉祐 古賀雄大 政田洋平 舞夏 山田美貴

2024年5月18日(土)~6月8日(土)

会場:東京・シアタークリエ