岡田将生の”膝枕”に衝撃…『虎に翼』、緊張の続く場面で最も和んだシーンは？ 徹底解説

伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。「女の知恵は後へまわる？」と題した第25週では、孤高の立場にいる桂場（松山ケンイチ）の葛藤が明らかに…。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

　桂場（松山ケンイチ）の孤独と苦悩が描かれた『虎に翼』第25週。「女の知恵は後へまわる？」と題し、濃い内容となった。

　少年法の改正などを法務省から迫られるなか、桂場は志高く自主的に勉強会を開催する朋一（井上祐貴）ら若手たちを異動させる。家裁での仕事を頑張ると最初こそ意気込む朋一だったが、やはりこれまでとのギャップは拭えなかった。

　寅子（伊藤沙莉）はこの件に関して直談判するも、桂場から拒絶されてしまう。裁判官は孤高の存在であるべき、と桂場は言った。その言葉通り、まさしく桂場はたった一人だ。

　一人で、すべてのことを抱え込んでいる。本当にこれが法に携わる人間のあるべき姿なのだろうか？　想像のなかで若かりし頃の多岐川（滝藤賢一）が「お前の目指す司法の独立は寂しく、お粗末だな」と挑発してくるあたり、桂場にも葛藤があることが見て取れる。

　少年法についての議論の場で役人たちを相手に熱くなる寅子に対し、ライアン（沢村一樹）も「心の中にたっきーを思う」ことで怒りを鎮めていると語る。多岐川という存在の大きさを、今さらながら実感させられる。孤高を訴える桂場と、愛を謳う多岐川。この両輪こそ、司法にとって必要なものなのかもしれない。

　だが、調査官の音羽（円井わん）は、少年法の改正を迫られるのは、寅子たち世代のツケがまわってきた部分もあるのではないかと指摘する。裁判官により事件の向き合い方に差があるために調査官の負担が大きくなってしまっていること、人員不足を個人の努力で補ってきてしまったがための歪が生じていること。

　まずはなんとか形にしようとがむしゃらにひた走ってきた結果、無理が生じるというのはままあることだ。それでも走り続けなければならないときがあるにしても。

　役人たちは、家裁設立のときだって急ごしらえだったのだからまずは外側を構築することも方法のひとつであると訴えるが、これをライアンが優しく制す。あのときは、設立に携わるメンバーが家裁は必要なものだと心底感じていた、と。意識が高いことを揶揄されることも多いが、その意識のなかにある志の重要性を諭すような言葉だと感じた。