43歳小泉進次郎氏は頂上目指すのか 自民党総裁選待望論、以前語った「自分が求められる条件」

AI要約

自民党総裁選や立憲民主党代表選を控える中、永田町は静かながらも様々な駆け引きが繰り広げられている。特に小泉進次郎元環境相の動向が注目されており、総裁選への出馬を考えているとの声が広がっている。

小泉氏は将来のリーダー候補として期待されてきたが、今回の総裁選では本格的に出馬の可能性が出てきており、待望論も高まっている。

進次郎氏自身も過去に将来のリーダーシップについて言及し、国民の求める変化や改革を実現したいという意欲を示している。

 お盆休みに入った永田町は静かだ。9月に控える自民党総裁選、立憲民主党代表選という、今年の日本政界の一大イベントを控える中、嵐の前の静けさでもある。特に自民党総裁選をめぐっては、各社世論調査でも交代を求める声が強い現職の岸田文雄首相(67)に替わる新たな総理総裁が生まれる可能性も、ゼロではない。表向きは静かでも、水面下ではさまざまな駆け引きや調整が続く。お盆が明ければ、総裁選の投開票まで1カ月あまりのタイミング。いろいろな動きが出てくる見通しだ。

 そんな総裁選に向けた流れの中で、小泉進次郎元環境相(43)をめぐる動きが関心を集めている。

 かねて「将来のリーダー候補」といわれてきたが、これまでの総裁選では、出馬は現実的ではなかった。岸田首相が勝利した前回2021年総裁選は、「小石河」連合として石破茂元幹事長とともに河野太郎デジタル相を後方支援したが敗北。岸田政権では目立つポストには就かず、大臣経験者としては異例の国対副委員長という「ぞうきんがけ」(自民党関係者)をこなしたり、今年の通常国会では衆院安全保障委員会の委員長に就任したが、これまでに比べれば「経験蓄積」の時間が長く続いた。

 その進次郎氏が「総裁選に出馬するかどうか考えているようだ」と語られるようになってきた。自民党内でも、以前の「にぎやかし」とは異なる形の「待望論」が出てきている。

 今年4月、43歳になった。この年齢は、進次郎氏が尊敬する政治家の1人、ケネディ元米大統領が大統領に就任した際の年齢と重なる。進次郎氏の初当選は28歳だったが、自身が尊敬する人物と同年齢になったことも、本格的に「頂上」を目指す考えに影響しているのではないか、と話す人もいる。

 進次郎氏が環境相時代、何度か大臣室を取材で訪れる機会があったが、壁には若いころのケネディ氏の写真が飾られていた。自身が目指す人物の写真を間近に置くことは、未来に思いをはせる時間のひとつになったはずだ。

 その進次郎氏に、令和の時代に入るタイミングでロングインタビューを行ったことがある。当時38歳。滝川クリステルさんと結婚する直前の2019年4月のことだったが、この時、ケネディ氏を引き合いに、将来どんなリーダーを目指すかを聞いた。すると「僕は、出番がないかもしれないね。(国民に)変化を求められていないから」と答えが返ってきて、意外だったことを覚えている。

 当時は「安倍1強」の第2次安倍政権時代。世論調査などで政権運営への批判や厳しい声はあっても、国民から「いまの政治を変えよう」という強い流れがあったわけではない。裏金問題はまだ発覚しておらず、自民党政権はある種、安定感の中にあった。

 この時、進次郎氏は「初当選から10年、前例踏襲でも現状を守るでもなく、改革すること以外、興味はありません。腹の底から力が沸くのは、守りではなく改革」と述べつつ「でも今の日本の空気は、将来に大きな希望があるわけではないけれど、今を変えたい大きな危機感もない。奇妙な安定の中にいませんか?。世界では、国内の分断や社会の中で取り残された人の叫びが表に出て、世界の秩序まで揺るがしている。その中で日本は例外。国民が(政治の体制を)大きく変えたいと思っていないのに、大きく変えたいと思っている政治家の出番はないでしょ」と、答えた。裏返せば、国民からの「変えたい」という声を、望んでいるということだった。

 この直前に現役引退した大リーグのイチロー氏が現役時代、毎年、打撃フォーム改造をしていたエピソードにも触れ「なぜいじるのか。200本がゴールではなく、もっと結果を出せるフォームがあるかもしれないというあくなき探求心、向上心。これですよね」と、現状に甘んじないレジェンドの姿に共感した様子もみせていた。

 「僕も、知らない自分を見てみたいし、自分がどこまでいけるか見てみたい」と答える場面もあり、「そんな進次郎さんが率いる日本を見たいと思う人もいるのでは?」と問うた。すると、「もしそう思ってくれる方が多くなれば、この国に大きな変化や改革が必要だと(国民が)思うことだと思う。ぜひ、そうしたい。僕が変化を訴えることは変わらない。それを世の中が求めてくれるかどうかが、(自分の)その後を決定づけるのではないですか」と答えた。

 進次郎氏への待望論は、裏金事件や岸田首相の政権運営で信頼が失墜した自民党の「イメージ刷新」に向けた期待感という側面も大きい。一方で、世論調査では今の政権、今の自民党政治を変えてほしいという空気も高まっている。5年前に語っていた「変化」に対する渇望と、国民の思いが重なるタイミングがあるとすれば、そこが進次郎氏が「動く時」になるのかもしれない。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)