「知名度の小泉進次郎氏」か「能力の小林鷹之氏」か 自民党総裁“若返り”するなら可能性が高いのはどっちだ

AI要約

自民党の総裁選挙を前に、党内では岸田文雄総理の退陣と世代交代の声が高まっている。

40代の小泉進次郎氏と小林鷹之氏が注目されており、両者にはそれぞれ支持する重要な党幹部がついている。

進次郎氏は知名度が高く、世代交代を象徴する存在として期待されている一方、小林氏は政策立案能力に優れ、党務経験が豊富であると評価されている。

「知名度の小泉進次郎氏」か「能力の小林鷹之氏」か 自民党総裁“若返り”するなら可能性が高いのはどっちだ

 自民党の総裁選挙まで2カ月を切り、ザワつく党内からは岸田文雄総理の退陣を訴えるだけでなく、世代交代を訴える声も。若手議員の間では40代の二人を推す声が広がっている。

「当選5回の小泉進次郎元環境相(43)と、当選4回の小林鷹之前経済安保相(49)のことですね」

 と言うのは政治部記者。

「進次郎氏の背後には非主流派の“ドン”こと、菅義偉前総理が控えています。菅氏は(1)石破茂元幹事長、(2)進次郎氏、(3)河野太郎デジタル相という順で後継を考えているようです。ただ、菅氏周辺は“菅さんは刷新感を重視している。それに見合うのは進次郎だろう”と話していますね」

 世論調査の「次の総理にふさわしい人」との設問に、“常連”として上位に名を連ねることが多い進次郎氏。出馬すれば、高い知名度から多くの党員票を集めるのは確実とされる。「世代交代を象徴する存在で次期衆院選の“顔”としても申し分ない」(自民党中堅議員)との評も納得だ。

 一方、その座を脅かすのが「コバホーク」と呼ばれ、にわかに注目を集める小林氏だ。先の政治部記者が言う。

「小林氏のバックには、甘利明前幹事長がついています。二人は“経済安保族”として、かねてより党経済安保推進本部で議論を重ねてきた間柄。甘利氏が“小林クンはオレが育てた”と吹聴するほどのお気に入りで、当選3回だった小林氏を初代経済安保相に推したのも甘利氏でしたね」

 党の重鎮から寵愛を受ける点も共通しているが、政治家としての実力はどうか。

 二人と親しい関係にある永田町関係者が解説する。

「進次郎氏は付属小学校から関東学院大学に進み、卒業後は米コロンビア大学院、米シンクタンクの戦略国際問題研究所を経て、父・純一郎元総理の秘書となった。頭が切れるタイプではなく、“約束は守るためにありますから、約束を守るために全力を尽くします”といったコメントがネットなどで“進次郎構文”と揶揄されることもありますね」

 小林氏は対照的だ。

「千葉県内の公立小学校から、難関校として知られる開成中高、東大法学部に進学。大蔵省(現・財務省)を経て政界入りしたエリートですが、父はサラリーマンで親族に政治家は不在というたたき上げ。党の若手の中でも図抜けた政策立案能力の持ち主として、先輩議員から一目置かれる存在です」

 周囲の評価も対照的だ。

「進次郎さんは飲み会の場でも決して素を見せず、発言にも慎重で余計なことは絶対に言いません。だから、彼の周囲は常に緊張感が漂います。最近まで携帯番号を聞いても“ケータイ、持ってないんですよ”と滅多に教えなかったし。もっとも、ここにきて付き合いを増やしたり、改憲議論に取り組み始めています」(自民党の50代議員)

 他方の小林氏はというと、

「ピカピカの経歴ながら謙虚な物腰で、酒は強くないのに同期や先輩との飲み会にはしっかり付き合います。カラオケもうまく、尾崎豊を見事に歌い上げることも。政界進出の際に谷垣禎一党総裁=当時=を頼ったのでリベラル系と見られがちですが、思想信条は保守系。前回の総裁選では高市早苗経済安保相の推薦人に名を連ね、保守系のウケも良い」(当選同期の議員)

 進次郎氏は「政策の理解力が圧倒的に不足」(党ベテラン議員)しており、小林氏には「党務の経験が乏し過ぎる」(同)との指摘も。

「週刊新潮」2024年8月8日号 掲載