博士課程で学んだいとうまい子さん 俳優で経営者、そして抗老化学の研究者 100歳時代の歩き方 私の後半戦

AI要約

芸能生活を続け、40代を迎えて考えた。社会に恩返ししたいという想いから大学に入学し、博士課程まで進む。現在は早稲田大学で抗老化学の研究を行っており、新たな世界に魅了されている。

学びを還元し、健康寿命の延伸に取り組むことで恩返しを行っている。カロリー制限を模した化合物を探しており、健康寿命延伸に貢献している。

過酷な環境下での大学生活や進路の遍歴を経て、恩返しの意思と学びの魅力に満ちた人生を送っている。

芸能生活を続け、40代を迎えて考えた。「社会に恩返ししたい」。土台を作ろうと大学に入ったら、学びに魅せられ博士課程まで進んだ。学びを還元することで恩返しも始められた。「学びでまったく新しい世界が広がった」と目を輝かせる。

現在は早稲田大学の大学院で研究生として抗老化学の研究をしています。一部、東京大学との共同研究です。健康寿命の延伸にはカロリー制限が有効とされています。そのため細胞にカロリー制限をしていると勘違いさせる化合物を探しています。健康寿命延伸への寄与が私の恩返しです。

■山奥のロケ、暗いロビーで講義

《最初は漠然と恩返しを考えていた》

デビューして25年を過ぎたころから「多くの人にお世話になった」と思うことが増えました。大学で恩返しの土台を作ろうと、仕事で接していた予防医学の講義があった早大人間科学部のeスクールに入学しました。通信教育です。

《平成22年、45歳での大学生活が始まった。勉強と仕事の両立は大変だった》

毎週、その週のうちに講義を聴いてリポートを提出しなければならない。いつでもパソコンとWi-Fiを持ち歩いていました。山奥のロケで、夜中にホテルの部屋で講義を聴こうとしたらWi-Fiが入らず、唯一つながった暗いロビーで聴いたこともあります。

3年目になって、予防医学のゼミがなかったため、ロボット工学の教授のゼミに入りました。睡眠時無呼吸症候群をサポートするシステムなどに取り組んでいるゼミで、予防医学とつながっていたからです。

《大学院は「1ミリも考えていなかった」が…》

大学4年間を振り返っても恩返しの土台が築けていなかった。学びを深めようと大学院に進みました。修士課程では、ロコモティブシンドローム(運動器の機能低下で寝たきりのリスクが高い状態)を防ぐために、高齢者に正しいスクワットを促すロボット「ロコピョン」を開発しました。

《28年には博士課程に進む》

博士課程にはロボット工学がありません。関心があった抗老化学を希望したら、周囲は「領域が違い過ぎるから無理だ」と散々でした。でも面接で教授たちの質問にすべて答えることができ、抗老化学の教授の教室に入りました。