脳障害男性の自宅売却「違法」、不動産会社に全額賠償命令

AI要約

脳障害で正常に判断できない男性が死亡前日に自宅売却の契約を結ばされ、遺族が不動産会社に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は2150万円の支払いを命じた。

男性は病死前日に2200万円で自宅を売る契約を結んでいたが、契約書に署名がなかったことなどから不正が疑われている。

不動産会社は支払いを求められ、男性の意思に基づかず契約を成立させたことが問題視されている。

 脳障害で正常に判断できない男性が、死亡前日に自宅売却の契約を結ばされたのは違法だとして、遺族が不動産会社(大阪市浪速区)に損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、大阪地裁であった。葛西功洋裁判官は「男性の死亡後、その意思に基づかず契約が結ばれ、所有権を違法に侵害した」とし、請求通り2150万円の支払いを同社に命じた。

 判決によると、男性は、交通事故の後遺症で記憶能力が低下するなどし、2022年6月に病死した(当時51歳)。亡くなる前日付で、一人で暮らしていた大阪市東成区の自宅を2200万円で売却する契約を同社と結んでいた。

 判決は、契約書に男性の署名がなかったことなどから、「契約書は死亡後に作成された疑いが強い」と判断。代金が男性に支払われた証拠もなく、同社が他社に売却したのと同額の2150万円を遺族に支払うよう命じた。