兵庫知事、パワハラ疑惑など一転して再調査へ 議会の「伝家の宝刀」巡り予断許さず

AI要約

斎藤元知事の内部告発文書によるパワハラ疑惑を巡り、調査の結果を受けて第三者機関での再調査が決定される

当初の調査に批判が殺到し、第三者機関の設置を決めた経緯

百条委員会の設置も検討され、議会と知事の対立構図が浮き彫りになる可能性

兵庫知事、パワハラ疑惑など一転して再調査へ 議会の「伝家の宝刀」巡り予断許さず

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを記載した内部告発文書を巡り、文書の核心部分が「事実でない」とする県の調査で幕引きを図ろうとした斎藤氏が一転、第三者機関での再調査を決めた。調査の中立性を疑問視する県議会の要請に押し切られた形だが、議会では地方自治法に基づき、強力な調査権を行使できる特別委員会(百条委員会)の設置を模索する動きがあり、さらなる曲折も予想される。

■当初調査に批判噴出

「近日中に手続きを進める」。斎藤氏は29日の定例記者会見でこう述べ、第三者機関の設置を県の代表監査委員に委任すると明らかにした。

監査委員は地方自治法上、自治体事務の執行について監査する権限を持つ。知事部局を関与させないようにしたのは、当初の調査の手法に批判が噴出したためだ。

県西播磨県民局長(部長級)だった男性(60)が、県幹部らの疑惑を7項目にわたって指摘した文書を県議などに配布したのは3月。県人事課は同月末だった男性の退職を保留した上で、斎藤氏や幹部らへの調査を弁護士とともに行った。

その結果、7項目の核心部分はいずれも事実でなく「誹謗(ひぼう)中傷」と結論付け、5月7日に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。

■客観性の根拠に疑義

斎藤氏は調査結果について、弁護士も関与したことを踏まえ「一定客観的」として、第三者機関の設置を否定してきた。

しかしこの弁護士は、文書で斎藤氏の政治資金にまつわる疑惑を指摘された県信用保証協会と顧問契約を結んでいることが発覚した。斎藤氏は調査担当の人選に関わっていないと釈明したが、県議からは「中立性が担保されていない」といった批判が相次いだ。

21日、県議会から第三者機関の設置を要請された斎藤氏は再調査を決定。メンバー構成や調査内容について「議会側の意見も踏まえ、より客観的なものにする」と述べた。

一方、県議会では第三者機関とは別に、百条委設置を巡る検討が続いている。

地方議会の調査権は、自治体事務について、関係者の出頭や証言、記録の提出を求めることができる強力な権限で「伝家の宝刀」といわれる。調査主体となる百条委は、兵庫県議会では昭和48年の公害問題に関する特別委員会以来、50年以上設置されていないという。