男性カップルに事実婚様式の住民票交付した長崎・大村市長「できる限りの対応」「事実婚は国が議論すべき」

AI要約

長崎県大村市が男性カップルに男女の事実婚関係を示す「夫(未届)」と記載した住民票を交付したことについて、市長は自治体の裁量で対応したことを述べた。

市は同性カップルに一般的に使われる「同居人」や「縁故者」の表記も提案したが、2人の希望や住民基本台帳の事務処理要領に準拠し、記載を許可した。国や総務省は対応を検討する意向。

事実婚の認識の差異や法的地位の保障は課題が残るものの、松浦さんと藤山さんは市の対応を歓迎し、多様な人たちが住みやすい社会に期待を寄せている。

 長崎県大村市が男性カップルに男女の事実婚関係を示す「夫(未届)」と記載した住民票を交付したことについて、園田裕史市長は28日、報道陣の取材に応じ、「自治体の裁量で、できる限りの対応をした」と述べた。

 住民票を交付されたのは、松浦慶太さん(38)と藤山裕太郎さん(39)。今月2日、松浦さんを「世帯主」、藤山さんを「夫(未届)」として申請し、受理された。

 市は同性カップルに一般的に使われる「同居人」や「縁故者」の表記も提案したが、2人の希望や住民基本台帳の事務処理要領に準拠し、記載が可能と判断した。園田市長は「事実婚と同じとは考えていない。(事実婚の判断については)社会保障や相続、雇用などに関係するので国が議論すべきだ」と語った。

 総務省が住基台帳制度を所管しており、松本総務相は28日の閣議後記者会見で「大村市から事情を聞いており、その状況を踏まえて対応を検討したい」と述べた。

 一方、松浦さんと藤山さんは同日、大村市内で記者会見を開き、市の対応に謝意を示した。松浦さんは「事実婚の認識の差異は今後、議論されていくと思うが、市が一歩踏み出してくれたことには意義がある」、藤山さんは「同じような自治体が増えて、多様な人たちが住みやすい日本になったらうれしい」と話した。

 家族法に詳しい棚村政行・早稲田大教授の話「事実上の婚姻関係に適用される形で受理されたことは、異例で画期的だ。事務処理の範囲内のため、法的地位が保障されるものではないが、他の自治体でも受理するところが出てくるのではないか。国も柔軟に対応する必要があるだろう」