映画「稲村ジェーン」もロケしたカフェ、鎌倉市が明け渡し求め提訴へ…耐震基準満たさず営業継続

AI要約

神奈川県鎌倉市は「ビーナス・カフェ」の運営会社に建物の明け渡しを求める訴訟を起こすことを明らかにした。営業を続けているのが耐震基準の問題とされる。

カフェは長い歴史を持ち、サザンオールスターズの桑田佳祐さんが監督した映画やテレビドラマのロケに使われる人気スポットとなっている。

運営会社は建物の所有権を主張し、耐震診断に問題がないと反論。市は建物の明け渡しを求めており、両者の間で争いが続いている。

 神奈川県鎌倉市は27日、同市が管理する鎌倉海浜公園にある「ビーナス・カフェ」の運営会社に対し、建物明け渡しを求める訴訟を起こすことを明らかにした。市の耐震診断で公共施設の基準を下回り、管理の「不許可処分」が出たのに営業を続けているのが理由という。運営会社は「建物は市有でなく、耐震診断にも問題ない」と反論している。

 カフェは、同公園坂ノ下地区にあり、1955年にレストハウスとして開業。約30年前からは同市の「メイン商事」が営業し、サザンオールスターズの桑田佳祐さんが監督した映画「稲村ジェーン」やテレビドラマのロケにも使われる人気スポットになっている。

 市によると、カフェは2022年1月の耐震診断で基準を下回り、使用許可を同年12月末までとされたが、営業を継続。市は24年3月1日、都市公園法に基づき、同月末までに建物の原状回復と明け渡しを求めたが、これまで応じていない。

 松尾崇市長は記者会見で、「きっかけは耐震不足ではあるが、(特定業者が)優先的に借り続けている形態を見直さなければいけない。長年親しんでいる利用者には申し訳ないが、市民の財産でもある」と説明した。

 一方、同社は建物について、1998年頃に大幅に増改築したとし、「市有との認識はない」と主張。耐震診断も「21年3月に専門家に依頼し、『問題なし』との診断を受けた。市の診断結果に対して行政不服審査を申し立てている」と争う構えを明らかにした。