【名人戦】藤井聡太名人「自信の持てる展開ではありませんでした」相性のいい北の大地で初防衛

AI要約

藤井聡太名人(21)が将棋の第82期名人戦7番勝負第5局で初防衛に成功し、8冠を堅持した。

北海道紋別市で行われた対局では、藤井が激しい攻め合いからリードを奪い、99手で豊島将之九段を下した。

今シリーズは、タイトルを失う可能性もある叡王戦にも注目が集まっている。

 藤井聡太名人(21)が初防衛した。27日、北海道紋別市「ホテルオホーツクパレス」で行われた、将棋の第82期名人戦7番勝負第5局で、挑戦者の豊島将之九段(34)を99手で下した。26日午前9時からの2日制で始まった対局は、豊島の意表を突く四間飛車に対し、金銀4枚の居飛車穴熊で対抗。激しい攻め合いからリードを奪った藤井が、差を広げて押し切った。4勝1敗で初防衛を果たし、8冠(名人・竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖)を堅持した。

 藤井がギアを上げる。穴熊の自玉は堅い。豊島玉へと攻め立てる。棋士人生最北のタイトル戦となる流氷の街で、白星を挙げた。「攻め駒が少なく、自信の持てる展開ではありませんでした」としながらも、攻めの形を作って勝ちきった。

 北海道のタイトル戦は過去5戦5勝。7戦7勝と最多の静岡県には及ばないが、京都府と並んで2位タイだった相性のいい北の大地で、勝ち星を積み上げた。

 今シリーズ、開幕局の逆転勝ちから始まった。豊島とのタイトル戦ではこれまで角換わりと相掛かりが多かった。その豊島が前例にない趣向を凝らしてきた。この傾向、一昨年10~12月の竜王戦の広瀬章人現九段戦あたりから多い。藤井にとって見たことのない局面をぶつけられ始めている。その包囲網を今回もかいくぐった。「反省点もあったかと思いますが、防衛という結果を出せて良かったと思います」。

 31日には同学年の伊藤匠七段(21)に1勝2敗と初めてかど番に追い込まれた、叡王戦5番勝負第4局が控える。負ければタイトルを初めて失う。「引き続き精いっぱい頑張りたいと思います」。弾みをつけてここも踏ん張り、続く第5局(6月20日、甲府市)へと望みをつなげる。