日韓首脳会談「中国の積極関与」で合意 経済協力も強化

AI要約

岸田文雄首相が韓国を訪問し、尹錫悦大統領と会談し、北朝鮮の脅威に対処する地域協力を強化することで合意した。日韓関係の発展や経済協力も進める方針。

日韓は徴用工問題や慰安婦問題は議題に挙がらず、LINE個人情報流出問題に関しても懸念が示された。

関係悪化していた日韓関係だが、尹政権の解決策発表後は改善の兆し。会談回数も増加中。

【ソウル=原川貴郎、時吉達也】岸田文雄首相は26日、韓国ソウルを訪問し、大統領府で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談した。両氏は弾道ミサイルなどの発射を続ける北朝鮮を念頭に、地域秩序安定に向けた協力強化に「中国の積極関与」を促すことで合意した。

日韓首脳の対面での会談は昨年11月以来で、今年に入ってからは初めて。来年の日韓国交正常化60年を控え、関係のさらなる発展に向け双方で準備を進める方針でも一致した。

経済協力では、水素のグローバル供給網の確保などに向けた協力を強化し、資源協力対話を6月中旬に新設することで合意。韓国側は、日韓の経済団体が昨年創設した「未来パートナーシップ基金」に日本側が2億円以上を新たに寄付したと明らかにし、韓国側も寄付を拡充する意向を示した。

一方、韓国大統領府関係者は、いわゆる徴用工訴訟問題や慰安婦問題などの懸案については会談で言及がなかったと明らかにした。

通信アプリ「LINE(ライン)」の個人情報流出をめぐり、日本の総務省が運営元のLINEヤフーに対し、実質的な親会社でシステム運用委託先の韓国IT大手ネイバーとの資本関係見直しを求めた問題では、尹氏が「両国間の懸案とならないよう、うまく管理する必要がある」と求めた。韓国では先月以降、「韓国企業が不当に奪われる」との世論の反発が拡大していた。

日韓は徴用工問題をめぐる対立を発端に、2019年以降関係悪化が深刻化したが、尹政権が昨年3月に同問題の解決策を発表後、関係改善が進んでいる。昨年は岸田首相と対面で計7回会談していた。