ソフトウエアで性能更新の次世代車「SDV」、日本勢で世界シェア3割目標 政府が新戦略

AI要約

政府は20日、ソフトウェアの書き換えで性能を更新できる次世代車「SDV」について、2030年の世界販売で日本勢としてシェア3割を目指す方針を明らかにした。

経済産業省と国土交通省は、自動車産業のデジタル化に向けた有識者検討会を開催し、日本勢が米国や中国に遅れを取らないよう、SDVの開発に力を入れる戦略を示した。

自動車産業におけるデジタル技術の進化を活かし、新たな移動サービスの実現やデータ活用にも取り組む方針が示されている。

政府は20日、ソフトウエアの書き換えで性能を更新できる次世代車「SDV」について、2030年の世界販売で日本勢としてシェア3割を目指す方針を明らかにした。国内の自動車産業は日本経済を支える屋台骨だが、最近は車のデジタル化が進む中で中国や米国が先行。オールジャパンでSDVの開発を急ぎ、生き残りを図る。

■米国・中国勢が存在感、巻き返しへ

経済産業省と国土交通省は17日、自動車産業のデジタル化に向け有識者が話し合う検討会を開き、新たな戦略案を示した。30年に最大4100万台と見込まれるSDVの世界市場で、日本勢として3割に当たる1200万台を目指す方針を明記。35年も世界で最大6400万台のうち日本勢は1900万台とシェア3割を維持するとした。

SDVは、スマートフォンのようにインターネットを通じてソフトを更新し、性能を向上させられる車。世界の自動車業界では電気自動車(EV)や自動運転技術の開発が進み、米国勢や中国勢が存在感を増している。遅れが指摘される日本勢は、SDVで巻き返したい考えだ。

SDVの開発を加速させるため、戦略案では車載ソフト開発の連携や、自動車向けの高性能な半導体の研究開発などを進めることを盛り込んだ。トヨタ自動車とホンダ、日産自動車の3社は、ソフトをつなぐ基盤部分の共通化に向けて検討に着手している。

■「ロボットタクシー」導入も

戦略案ではSDVのほか、自動運転などを活用した新たな移動サービスの実現も目指す。ドライバー不足が懸念される「2024年問題」を念頭に、自動運転トラックの実証走行や改造支援を実施。無人で走行できる「ロボットタクシー」の導入に向けた取り組みも推進したい考えだ。

自動車の製造から利用、廃棄までの一連のサイクルで生まれるデータの活用も戦略案のテーマだ。来年度以降、こうしたデータを共有する基盤を確立する方針で、災害時の状況把握などに活用してサプライチェーン(供給網)の強靭(きょうじん)化につなげる。

経産省製造産業局の伊吹英明局長はこの日の検討会で「激しい国際競争に勝てるよう、官民連携と、スタートアップ(新興企業)も含めた民民連携の具体化を進めたい」と話した。(中村智隆)