「悔しい」千葉でナシ500個盗まれる 収穫期、県警が対策強化

AI要約

千葉県警がナシの収穫シーズンに盗難被害の警戒を強化している中、八千代市で500個のナシが盗まれる被害が発生。被害農家は悔しさを訴える。

ナシ園はネットで囲まれていたが、犯人は入口のひもを解いて容易に侵入。被害農家は食べごろのナシが盗まれたことに驚く。

県外でも果物の盗難被害が相次ぎ、同署は農家に啓発チラシを配るなどの対策を講じる方針。地域の協力を得て、警戒を強化していく。

「悔しい」千葉でナシ500個盗まれる 収穫期、県警が対策強化

 ナシの収穫シーズンを迎え、千葉県警は盗難被害の警戒を強めている。そんな中、10日には八千代市で約500個が盗まれる被害が発覚。八千代署は啓発チラシを用意するなどし、地域と連携した防犯対策を進めている。

 「悔しい」。八千代市島田でナシ園を営み、500個(計約14万5000円相当)の盗難被害に遭った三橋一義さん(79)はため息をついた。

 事件は9日午後1時15分~翌10日午前7時半の間に発生した。同日朝、三橋さんの長男らが収穫のため農園に足を運んだところ、甘みの強い品種「あきづき」の木3本分が盗まれていることに気づいた。

 約1ヘクタールのナシ園はネットで囲われているが、入り口のひもをほどけば誰でも入れる。同市内でナシの栽培を始めて20年以上、少量を盗まれることはあったが、これほど大量に盗まれる被害はこれまでにはなかった。収穫時期を迎えたナシが盗まれていたことから「(食べごろが)分かっている犯人の仕業ではないか」と推測する。

 JA八千代市によると、市内には約50軒のナシ農家の組合員がいるが、大量の被害に遭ったとの報告は近年、なかったという。

 一方、県外では、ナシのほかモモなどの果物が大量に盗まれる被害が相次いでいる。過去には犯人が検挙され、転売目的が動機とみられる事例もあった。こうした事態に、同署は被害を未然に防ぐため、市内の農家に啓発チラシを配ることを考えた。チラシを販売所に張ってもらい、盗難の被害を警戒していることを犯人に知らしめるほか、住民や農家の意識を高める狙いもある。今回の大量被害を受け、同署では今後、警察官によるパトロールも強化していく。

 12日にチラシを受け取った黒沢さえ子さん(54)の同市のナシ園では、侵入防止のネットで囲い、監視カメラを付けて対策している。しかし、「ネットを切り裂いて中に入られてしまえばそれまで。個人の対策にも限界がある」と危機感を募らせる。

 被害のあった地区を担当している睦駐在所の日高忠義巡査長(51)は「犯人の逮捕に向けて全力で捜査し、警戒は署員一丸となって強化していきたい」と引き締めた。【林帆南】