人身事故ゼロ、地域守る地蔵さん 20年間管理の89歳女性に感謝状

AI要約

地蔵のおかげで10年間も交通事故が起きていない東京都港区白金台。小さな地蔵を20年間手入れし続けた柏渕ミイさん(89)に警視庁高輪署が感謝状を贈った。

柏渕さんは20年前から地蔵の近くで手を合わせて毎日水を供え、花を手向けるようになり、その結果交通事故が減り、10年前から人身事故が起きていない。

しかし、2024年に地蔵のさい銭が盗まれる事件が起き、その際に高輪署が柏渕さんの地蔵の管理を知り、被害者として60代男性を書類送検した。

人身事故ゼロ、地域守る地蔵さん 20年間管理の89歳女性に感謝状

 交通事故が起きていないのは地蔵のおかげ――。約10年間にわたって人身事故の発生がないという東京都港区白金台の一角。高級レストランなどが建ち並ぶ通称「プラチナ通り」を見守る1体の小さな地蔵の手入れを約20年間続けたとして、警視庁高輪署は12日、近くに住む柏渕(かしわぶち)ミイさん(89)に感謝状を贈った。

 高輪署によると、地蔵は台座を合わせて高さ約1メートル。約60年前に付近の道路が整備された際、地中から見つかったものだが、いつ造られたものかなど詳細は分かっていない。

 約20年前、柏渕さんは親戚の子どもが病気がちだったことから、地蔵の近くを通るたびに手を合わせた。片側2車線で交通量が多いプラチナ通りで交通事故を目撃することもあり、次第に交通安全を祈って毎朝、水を供え、花を手向けるように。赤い前掛けは手作りし、汚れると新しいものに交換した。不思議と交通事故は減り、約10年前から人身事故は起きていないという。

 2024年4月25日夜、地蔵のさい銭数百円が盗まれる事件が起きた。高輪署は、近所への聞き込みで柏渕さんが地蔵の管理をしていることを初めて知った。事件の被害者を柏渕さんとし、60代男性を窃盗容疑で9月に書類送検した。

 12日に高輪署で感謝状を受け取った柏渕さんは「地域の人が幸せでいられるように、これからも地蔵の手入れを続けます」と話した。【朝比奈由佳】