リクルートのスキマバイト「エリクラ」のひどすぎる実態 「マンション清掃43分、836円」うたい文句の罠

AI要約

日本の非正規雇用の拡大により所得格差が広がっている現代において、男性の貧困事例にフォーカスした報告。

54歳男性がリクルート社のアプリでスキマバイトを試みるも、労働者にとって厳しい状況に陥る。

報酬の低さや作業内容の過酷さ、さらに監視が目的のような作業報告書の写真撮影まで要求される過酷な現実が描かれる。

リクルートのスキマバイト「エリクラ」のひどすぎる実態 「マンション清掃43分、836円」うたい文句の罠

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

今回紹介するのは「リクルート社運営の『エリクラ』というアプリにて「スキマバイト」を実際にやってみたのですが、これがあまりにも労働者にとってひどいシステムで……」と編集部にメールをくれた54歳男性だ。

■あまりにも労働者にとってひどいシステム

 東京都心にある4階建てマンション。敷地内のゴミ集積ボックスのふたを開けると、甘酸っぱい腐敗臭が鼻を突いた。山のようなビニール袋の中には、スプレー缶が混入しているものもある。ボックスの底をのぞくと、飲み残しが入ったペットボトルが何本も転がっているのが見えた。おしゃれな外観とは裏腹に、ゴミ捨てのマナーがよいとはいえない。

 キヨシさん(仮名、54歳)はスマホのスキマバイトアプリで、このボックス内の分別と清掃という仕事を見つけた。作業時間は23分で、報酬は638円。しかし、ふたを開けた瞬間に絶望した。「23分で終わるはずがないじゃないか」。憤りを覚えつつも、引き受けた以上は手足を動かすしかない。

 この日は最高気温35度を超える猛暑日。キヨシさんはマニュアルに従い、まずボックスからすべてのゴミ袋を取り出した。続いて袋の口を開け、スプレー缶やビン、缶など未分別のゴミをより分ける。ペットボトルの飲み残しは近くの排水溝まで行って捨てる。

【写真】実際、報告書に添付した写真。本当に作業をした“証明”として手元が映っているカットや作業前、作業後の様子、ウエットティッシュの汚れた部分や使用した枚数がわかる写真を送る必要がある

 次第に汗だくになり、両手が得体のしれない液体でベトベトになっていくのがわかる。直に捨てられていた使用済みの避妊具をつかんでしまったときは心がなえそうになった。持参したほうきで周辺を掃き、ウエットティッシュでボックス内を拭き上げ、分別したゴミを再び戻す。

■監視が目的? 作業報告書の写真は約100枚

 案の定、作業は1時間近くかかった。しかし、仕事はこれで終わりではない。スマホで写真とコメントを付けた作業報告書を作成し、アプリ側に送らなければならないのだ。