<視点>自民党総裁選 群雄割拠のリーダー選び、焦点は憲法改正

AI要約

自民党総裁選は過去最多の9人による熱戦の火ぶたが切られた。わが国周辺で中国の覇権的な振る舞いに歯止めがかからない中、足元では社会の分断が進みつつある。日本の次の指導者を決める地に足のついた議論が求められる。

来年、結党70年を迎える自民にとって最優先課題は憲法改正だ。現状では最高法規から国防の重要性は読み取りにくい。最前線に身を置く自衛隊を明記することは、法治国家の責務といえる。

有事などでの国家機能の維持を目的とした緊急事態条項の新設も待ったなしだ。核保有国のロシアによる容赦のないウクライナ侵略を目の当たりにした今、「平和を愛する諸国民の公正と信義」を妄信することは危険だ。「万が一」への備えを構築することは責任政党の使命といえる。

<視点>自民党総裁選 群雄割拠のリーダー選び、焦点は憲法改正

自民党総裁選は過去最多の9人による熱戦の火ぶたが切られた。わが国周辺で中国の覇権的な振る舞いに歯止めがかからない中、足元では社会の分断が進みつつある。日本の次の指導者を決める地に足のついた議論が求められる。

来年、結党70年を迎える自民にとって最優先課題は憲法改正だ。現状では最高法規から国防の重要性は読み取りにくい。最前線に身を置く自衛隊を明記することは、法治国家の責務といえる。

有事などでの国家機能の維持を目的とした緊急事態条項の新設も待ったなしだ。核保有国のロシアによる容赦のないウクライナ侵略を目の当たりにした今、「平和を愛する諸国民の公正と信義」を妄信することは危険だ。「万が一」への備えを構築することは責任政党の使命といえる。

先の通常国会で、自民の派閥パーティー収入不記載事件は改憲論議の停滞を招いた。本気度を疑われることのない具体論を交わす必要がある。

8日の沖縄県宜野湾市長選は、米軍普天間飛行場(同市)の名護市辺野古移設を容認する与党推薦候補が勝利した。粛々と現実的な防衛政策の議論を戦わせるべきだろう。米大統領選の結果次第では世界で一層の混迷が予想されることを踏まえ、国際社会で主導的役割を担うためにふさわしい指導者の資質を問う必要もある。

気になるのは、経団連の働きかけもあり、選択的夫婦別姓制度導入の是非が注目を集めていることだ。推進派の小泉進次郎元環境相は12日の演説で、「皆さんの選択肢を広げる」と改めて意欲を示した。

ただ、共同通信社が今夏に主要企業111社に実施したアンケートで、早期または将来的に実現すべきだとする企業はわずか21%にとどまり、経団連とは温度差がある。家族観に深く関わるテーマであり、国民や党の分断を招いてまで結論を出すべきなのか。国難の時代に優先順位を間違えるべきではない。(政治部与党キャップ 内藤慎二)