立民代表選は消費税が争点化 野田・枝野氏は減税否定、泉・吉田氏は食料品引き下げに言及

AI要約

立憲民主党代表選において消費税を巡る問題が争点となっている。候補者の立場や提案が異なり、新執行部に政局の火種を残す可能性が高い。

野田氏と枝野氏は税率引き下げに慎重で給付付き税額控除を支持。一方、泉氏と吉田氏は減税に前向きで、食料品税率引き下げなどを提案している。

消費税を巡る党内対立はかつての民主党分裂を思い起こさせ、立憲民主党の次期衆院選挙に影響を及ぼす懸念がある。

立民代表選は消費税が争点化 野田・枝野氏は減税否定、泉・吉田氏は食料品引き下げに言及

23日投開票の立憲民主党代表選で、消費税を巡る問題が争点として浮上している。野田佳彦元首相(67)と枝野幸男前代表(60)が減税に否定的な姿勢を示す一方、泉健太代表(50)と吉田晴美衆院議員(52)は食料品の税率引き下げなどに言及する。見解が鮮明に分かれているだけに、代表選で誰が勝利しても新執行部を揺さぶる政局の火種になる可能性が高い。

野田氏と枝野氏は、税率の引き下げには消極的な半面、物価高対策として、所得に応じて給付や控除を実施する「給付付き税額控除」の導入を提唱する。

泉氏は、給付付き税額控除に加え、景気低迷時の時限的税率引き下げ、食料品の税率引き下げを選択肢にすると表明している。4人の候補の中で最も減税に前向きなのは吉田氏で、税率5%への時限的減税や食料品非課税を掲げる。

立民は令和3年の衆院選と4年の参院選で「税率5%への時限的減税」を公約に盛り込んだ。だが、昨年11月に決定した経済政策には減税を明記しなかった。

4候補が参加した9日の討論会で野田氏は、枝野、泉両氏と主張が共通する給付付き税額控除が「正しい道だ」と指摘した上で、減税の余地を否定しない泉氏に「別の選択肢が出てくると戸惑う」と苦言を述べた。その上で、首相や財務相を務めた立場から「減税はそう簡単に言えない」と強調した。

3年の衆院選で代表として党を率いた枝野氏は、当時の訴えが「国民の理解を得られなかった。政治的に間違いだった」と発言。次期衆院選で勝利した場合も当面は衆参ねじれ国会に臨まなければならないとし、「実現できないことを言ってはいけない」と税率引き下げ論を牽制(けんせい)した。減税が党の立場と異なる「小さな政府」を志向した政策だとも指摘した。

泉氏は、給付付き税額控除とともに「国民に早く還元しようと思えば食料品の税率を下げる方法もある」と訴えた。吉田氏は「食料品非課税が国民の家計を支える」と述べた。

消費税を巡る党内対立は立民の源流である民主党が分裂し、政権を失う端緒にもなった。「鬼門」ともいえる政策課題は、次期衆院選で政権奪取を目指す立民に重くのしかかっている。(深津響)