当事者団体「初のケース」 トランス夫婦の性別変更認めた家裁の判断

AI要約

トランスジェンダー夫婦が性別変更を認められた初のケースについて、Tネットが柔軟な判断を評価。

非婚要件の問題には踏み込まれなかったが、戸籍と実態の乖離が生じ混乱を招いていると指摘。

Tネットは当事者団体として情報発信や政策提言を行っており、トランスジェンダーの権利保護に取り組む。

当事者団体「初のケース」 トランス夫婦の性別変更認めた家裁の判断

 トランスジェンダーの夫婦に対し、ともに性別変更を認めた家裁の審判について、当事者団体「トランスジェンダーネットワークジャパン(Tネット)」は9日、「知る限り、結婚している状態で性別変更が認められた初のケース」などと評価する声明を出した。

 性同一性障害特例法には性別変更の際、現在結婚していないことを求める「非婚要件」がある。現行法で認められていない「同性婚の状態」が生じないよう設けられた。

 4日付の審判は、夫婦が同時に性別を変更すれば同性婚の状態は生じないなどとして、申し立てを認めた。

 声明は、審判について「条文を機械的に適用せず、柔軟な判断を下した」とする一方、非婚要件の問題には踏み込まなかったと指摘した。

そのうえで、非婚要件があることで夫婦やカップルの生活上の現実と戸籍上の登録が乖離(かいり)して、混乱を招いているとし、全国の裁判所に「当事者が置かれた現実に即し、柔軟な判断が行われるよう望む」と求めた。

 今回の申立人のように「性別に関して生活上の実態と戸籍の記載が双方で逆転している夫婦」のほか、「法的には『異性婚』の状態にあるが、片方がトランスジェンダーであるため、実態としては同性婚状態にあるカップルは、以前から存在している」という。

 Tネットは、特例法の制定当時にもロビー活動をしていたトランスジェンダー女性で神奈川大非常勤講師の野宮亜紀さんと、トランスジェンダー男性でユーチューバーの木本奏太さんが共同代表を務める当事者団体で、8月に発足した。今後、情報発信や政策提言などを行う。(二階堂友紀)