米シカゴ開催の民主党全国大会で…中絶と体外授精に新たなスポットライトが当たる(シェリーめぐみ)

AI要約

シカゴで開催された民主党全国大会では、中絶と体外受精が重要案件として取り上げられ、新大統領候補のカマラ・ハリス氏が注目を集める中、中絶禁止や体外受精制限の問題が浮き彫りになっている。

ルイジアナの女性や強姦被害者の女性が中絶に関する困難な実体験を共有し、体外受精を支持する声も上がっている。女性の権利や医療の問題として、ハリス氏とトランプ氏の対立が激化している。

中絶や体外受精の問題は、女性の自己決定権や命に関わる医療問題を含んでおり、選挙戦において大きな軋轢を生んでいる。

米シカゴ開催の民主党全国大会で…中絶と体外授精に新たなスポットライトが当たる(シェリーめぐみ)

【ニューヨークからお届けします】

 シカゴで開催された民主党全国大会で、人口妊娠中絶と体外授精が大きく取り上げられ、大統領選の結果を左右する重要案件として、改めて注目が集まっています。

 大会の主役はもちろん、新たな大統領候補となったカマラ・ハリス氏です。しかしオバマ元大統領夫妻ら民主党の重鎮らが次々にスピーチする中で、最も重要な案件として取り上げられているのが、中絶と体外受精なのです。

 中絶に関してはこれまで何度も書いていますが、2022年の最高裁判決でアメリカ50州のうち14州で完全に禁止となっています。それ以外の州でも様々なレベルで制限が加えられ、医師や患者も混乱しているというのが現状です。また近親相姦やレイプの場合で中絶が禁止されるかどうかも、州によって規制が異なります。

 中絶禁止を支持し、全米での禁止もほのめかしてきたトランプ氏と、禁止に反対するハリス氏の間での戦いが激しくなっています。

 民主党全国大会では、そんな中絶禁止の影響を受けた女性たちが登壇しました。

 まずルイジアナの女性が、明らかな流産で大量に出血しているのに、医師に中絶を拒否され、病院をたらいまわしにされた経験を語りました。続いて12歳で継父に強姦され妊娠、中絶できないことへの恐怖を感じたという女性の話には、数万人の聴衆が息を飲みました。

 また体外受精に関しても、アラバマ州での禁止を受けて、トランプ氏当選の場合の全米での制限の可能性が懸念されています。この日登壇したインフルエンサーのナベラ・ヌアーさんは、自らの体外受精体験を語ると共に、体外受精を支持するハリス氏へ投票の重要性を訴えました。

 中絶も体外受精も、単に産む産まないの問題ではありません。女性が自分の体に関する選択ができるか否かの人権問題であり、命に関わる医療の問題でもあります。そのため女性は圧倒的にハリス氏を支持しており、男性に強いトランプ氏との間で歴史的なギャップも生まれています。

(シェリー めぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)