サービス産業と出稼ぎと個人消費が牽引するフィリピン経済

AI要約

フィリピンのショッピングモールや外食チェーンの繁盛ぶりと、人々の消費行動について述べられている。

フィリピンの国内総生産(GDP)や支出面の内訳について、日本との比較も交えながら解説されている。

フィリピン経済の成長において、出稼ぎの外貨送金とサービス産業が重要な役割を果たしていることが示唆されている。

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 フィリピンではどこの町に行っても途上国にしては“分不相応”なショッピング・モールがある。全国展開しているロビンソンズとSMが数多あるショッピング・モールのなかで双璧を成している。その町の主要バスターミナルはロビンソンズやSMのショッピング・モールに隣接していることが多い。また町のランドマークになっており町角で道を聞くと「ロビンソンズから1キロ南の方向」「SMを目指して10分歩いて右側」とか教えてくれる。

 バギオはルソン島の高原都市で避暑地として人気がある。ホステルで町全体を眺望できる展望台を尋ねたら「SMショッピング・モールが近くて便利」とのこと。高台に巨大な建物が聳えている。人気スポットらしく広い展望デッキはお祭り騒ぎのように込み合っている。観光客・買い物客はほぼ全てフィリピン人であり外国人はポツンポツンくらいしか見当たらない。

 冷房のキンキンに効いた館内で最初に目に付いたのはマクドナルドの順番待ちの長蛇の行列。マクドナルドはじめフィリピンの全国チェーンのファーストフードは概して値段が日本とあまり変わらない。円安のため例えばビッグマックセットで800円くらい。逆にフィリピンの平均収入は日本の8~9分の1程度。国内の賃金水準が低いために国民の10人に1人は外国へ出稼ぎしているほどだ。

 それなのに家族連れがマクドナルドに群れを成して行列していることに違和感を抱いた。SMの各階の売場も大変な賑わいだった。食品売り場を覗いても日本と比較してさほど安くない。そしてバギオのSMは決して特別ではなくフィリピン各地のショッピング・モールや外食チェーンは同様にフィリピン人で賑わっている。

 気になってフィリピンの国内総生産(GDP)を調べると農林水産業10%、鉱工業30%、サービス産業60%。他方で支出面の内訳は個人消費70%、投資12%、政府支出11%である。

 ちなみに日本のGDPは農林水産業1%、鉱工業30%弱、サービス産業70%。支出は個人消費50%、投資20%、政府支出21%となっている。

 数字で見るとフィリピンは個人消費比率が高く産業構造もサービス産業が断トツに大きい。近年のフィリピンの経済成長を牽引しているのは出稼ぎの外貨送金とサービス産業であり、それに支えられた旺盛な個人消費という背景があるようだ。