能登の被災地で僧侶が「出張居酒屋」 はじける笑顔が自然のケアに

AI要約

能登半島の北側、珠洲市馬緤(まつなぎ)町にオープンした居酒屋で、自主避難所の人々が集まり笑顔で楽しんでいる様子。

刺し身が一番人気で、兵庫県の住職が調理を担当している。長田浩昭さんは以前能登町宇出津の寺で住職を務めていた。

南方玲子さんは地震で多くのものを失ったが、人とのつながりや新たな経験を通じて多くの収穫を感じている。

能登の被災地で僧侶が「出張居酒屋」 はじける笑顔が自然のケアに

 焼き鳥をあぶる煙がコンロからモクモクとあがり、ビールの栓を開けるプシュッという音が響くと、そこかしこで笑顔がはじけた。

 そんな「居酒屋」がオープンしたのは、能登半島の北側。日本海に面した石川県珠洲市馬緤(まつなぎ)町の市自然休養村センター。6月に訪ねると、ここを自主避難所として寝泊まりする約20人に、自宅で過ごす住民も加わり、数十人でにぎわっていた。

 一番人気は刺し身。包丁を握るのは、兵庫県丹波篠山市にある真宗大谷派法伝寺の住職、長田浩昭さん(63)だ。36歳まで珠洲市の隣の能登町宇出津(うしつ)の寺で住職を務めていた。

 調理が一段落すると、長田さんも会話に加わる。ある人が「昔、宇出津のお寺で結婚式挙げたわ」と語り出すと、「それ引き受けたのおれやで」と長田さん。思いがけない再会に盛り上がる。

 主婦仲間と話し込んでいた南方玲子さん(71)は「地震でたくさんのものを失ったけれど、人とのつながりとか、地震がなかったら経験できんかったようなものをたくさん得ました」と話す。