表彰台や座席に再生プラ 環境配慮、貧困地区で雇用創出も パリ五輪

AI要約

パリ五輪・パラリンピックでは、環境への配慮を示し、競技会場の座席に再生プラスチックが使用された。

サンドニ地区にあるスタートアップが製作を担当し、地元雇用の機会も創出した。

フィリポノさんの会社は、犠牲者が出た同時多発テロ事件の発生地区に位置し、地元の低所得層を中心に活動している。

 二酸化炭素排出量の削減など環境への配慮に取り組んだパリ五輪・パラリンピックでは、メダリストが立つ表彰台のほか、新たに建設された競技会場の座席に、パリ市内外から収集され加工した再生プラスチックが使用された。

 製作を担当したのは、貧困地区として知られる同市郊外にあるスタートアップ(新興企業)で、同社のルーカス・フィリポノさん(25)は「五輪を機に、地元に雇用の機会もつくることができた」と胸を張った。

 フィリポノさんによると、ペットボトルのキャップやシャンプーボトルのプラスチック素材100トン分を使い、白色や黒色の座席計1万1000席を製作。大会に合わせて建設された新体操やバドミントンの競技会場と、飛び込みやアーティスティックスイミングが行われた会場にそれぞれ設置された。表彰台は五輪とパラリンピックに使われている。

 フィリポノさんの会社があるのは、2015年に130人が犠牲となったパリ同時多発テロ事件の発生した地区の一つ、サンドニ地区。低所得層が多く住んでいるとされ、「この地域で仕事を得るのは難しい」(フィリポノさん)が、今回の事業に関わった約20人の社員の大半は地元から採用した。五輪やパラリンピック終了後も、継続して雇用されるという。

 フィリポノさんは、五輪に携わったことについて「これまで経験したことがない事業に関わることは大きな挑戦だった。人生で一度きりの幸運な機会となり誇りに思う」と笑顔を見せた。