灼熱の庁舎に自腹の名刺、不合理な慣行に蒸される自治体職員  from 大阪社会部

AI要約

夏の暑い日に市の職員が残業をする中、熱気に悩まされる様子が描かれている。

職員が自腹で小型扇風機を使えない状況や名刺作成費用を負担する慣行に不満を覚える様子が伝えられている。

このような不合理な慣行や首長のパワハラが、公務員への尊敬を失わせ、将来の選択肢を狭めている可能性が示唆されている。

灼熱の庁舎に自腹の名刺、不合理な慣行に蒸される自治体職員  from 大阪社会部

厳しい暑さに連日見舞われる夏。夕方、担当市の職員と雑談中、周囲の空気が急激に熱気を帯び、不快指数が上昇し始めた。

「なんか暑くなってないですか」「業務時間が終わると冷房が切れるんです」

しかし、多くの職員がパソコンに向かい、残業をしている。それならば、卓上の小型扇風機などで涼を取るのはどうかと提案。

「税金で払う庁舎の電気を私的に使うな、という市民さんがいるかもしれませんのでダメなんですよ」

厳密に考えれば、そうかもしれない。だが、そんなクレームを入れる市民が果たしているかどうか疑問だし、そのような苦情があったとしてもどうだろうか。真面目に仕事をしている職員の姿を見てほしいところだろう。

さらに、愚痴ついでに聞くと、公務に欠かせない名刺の作成費用も自腹で負担しているという。多くの自治体でこういった慣行らしい。割り切れない気持ちで、職員が残業を続ける灼熱(しゃくねつ)の庁舎を後にした。

総務省によると、全国の自治体が令和4年度に実施した職員採用試験の競争率は5・2倍で過去最低。約20年で半減したという。昨今、各地で報じられる首長のパワハラに加え、こうした不合理な慣行も、若者の将来の選択肢から公務員が外れる原因となっているのではないだろうか。

血税の使い道には厳しい監視は必要だが、公に身を捧げると誓った人々を蒸したり、パワハラで苦しめたりしてはいけない。(木津悠介)