千代田区立校の越境入学で虚偽申請 元議長あっせん、保護者から金品

AI要約

元区議会議長が虚偽の書類を使い、審査を通して越境入学をあっせんした不正が発覚。

関連する少なくとも5件の不正が明らかになり、公立ブランド校を舞台に行われていたことが判明。

元議長は虚偽の書類を作成し、保護者から金品を受け取りながら不正行為を繰り返していた。

千代田区立校の越境入学で虚偽申請 元議長あっせん、保護者から金品

 東京都千代田区立小中学校へ区外から通う越境入学をめぐり、基準を満たさないのに虚偽の書類などで審査を通す不正が行われていたことが複数の関係者への取材でわかった。保護者が元区議会議長に相談し、元議長は区内に勤務地があるよう装う書類の作成を支援者に依頼。区職員に働きかけて審査を通し、保護者から金品を受けていたという。

■少なくとも5件 舞台は公立ブランド校

 関係者によると、元議長=区発注工事を巡る汚職事件で有罪判決=による不正なあっせんの疑いは、区議だった2021~24年度入学に関し十数件あり、うち少なくとも5件で虚偽申請と金品受領が確認された。教育熱が高まる中、先進的な教育を受けられ進学でも有利と言われる都市部の公立ブランド校を舞台に、不正が起きていることが明らかになった。

 千代田区教育委員会によると、同区への越境入学では「学区内に転入予定」「兄姉が在学中」など11項目の基準があり、満たす項目がある場合に審査の対象になる。「保護者の勤務先が学区内」の項目があてはまるケースが8割以上という。

 元議長は嶋崎秀彦氏(64)。区発注工事をめぐり入札情報を漏らす見返りに業者から賄賂を受け取ったなどとしてあっせん収賄容疑などで1~3月、警視庁に逮捕され、懲役2年6カ月執行猶予4年の判決が確定。逮捕時に議員辞職した。

■うその書類を作成、電話で入学許可を求める

 複数の関係者によると、元議長は20年、東京都江東区の女性から、子どもが千代田区立中へ越境入学できるよう要望を受けた。自身の支援者である区内の店舗に、女性が店で勤務しているよう装った就労証明書の作成を依頼。女性が申請資料として区教委に提出し、元議長は提出直前に区教委幹部らに申請を許可するよう電話で求めた。

 21年4月の越境入学が認められ、元議長は女性側から銀ダラや最中(もなか)を受け取った。女性は「千代田区は学業のレベルが高く、いじめも起きにくいと評判だった」などと、ブランド校が理由という趣旨の話をしていたという。

 元議長は21~24年度入学に関し、別の保護者からも同様の依頼を受け、千代田区立小への越境入学をあっせん。虚偽が確認された5件のうち、虚偽の就労証明が4件で、保護者が区内に住んでいると偽ったのが1件だった。5件とも越境入学は実現し、商品券や食品を受け取ったという。元議長は取材に「僕は正規の手続きをしただけ」と話した。