原発処理水、6万トン超を放出 開始から1年、海水異常なし

AI要約

福島第1原発の処理水海洋放出が1年経過したが、6万トン超がすでに放出され、周辺海域での異常は見られていない。

中国は海洋放出に反発し、日本産水産物の輸入停止を続けており、解決策が模索されている。

政府は海洋放出を決定し、2023年までに全量を放出する予定で、福島県沖の漁業も復活している。

 東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出が始まり、24日で1年となった。東電はこれまで6万トン超を放出、周辺海域のモニタリングで海水などに異常は確認されていない。放出に強く反発する中国は日本産水産物の全面輸入停止を継続し、解決の道筋は見えないままだ。

 通算8回目の放出が続いた23日、福島県沖では漁が行われ、次々と「常磐もの」が水揚げされた。県漁業協同組合連合会の鈴木哲二専務理事は「かねて海洋放出に反対の立場だが、国などの支援もあり風評被害がかなり抑え込まれている」と話した。

 政府は2021年4月、処理水の保管タンクが原発の敷地を占有する現状が廃炉作業の支障になるとして、海洋放出を決定。東電は昨年8月24日に漁業者が反対する中、放出を開始した。23年度は4回で3万1145トンを放出し、24年度は7回で5万4600トンを計画。放出は51年までに完了するとしている。

 第1原発では、11年3月の事故で溶け落ちた核燃料の冷却に使用した水と、建屋に流れ込む地下水や雨水が混ざり汚染水が発生する。