二部制、低反発バット…「夏の甲子園改革」の効果は? 元高校野球担当記者×担当アナウンサーが激論

AI要約

高校野球の第106回大会に導入された改革策について、取材経験のある専門家やキャスターが意見を述べた。

新たなスケジュールや7イニング制の導入について賛否両論がある中、低反発バットの効果が評価されている。

投手が有利になり、投手の使い分けや継投が重要視されることで、高校野球の戦術が変化する可能性がある。

二部制、低反発バット…「夏の甲子園改革」の効果は? 元高校野球担当記者×担当アナウンサーが激論

 連日、大きな盛り上がりを見せる高校野球。第106回となる本大会ではさまざまな「改革」施策が導入されているが、果たして効果はあったのだろうか。

 自身も高校野球の取材経験があるノンフィクションライターの石戸諭氏は、本大会で暑さ対策として導入された大会の「二部制」スケジュールについて「悪くはないが、マストでもない。試験的な試みだったが、もう少し検証が必要だ」と見解を示した。これまでは1日4試合のスケジュールが組まれていたが、本大会では第1日から第3日の日程のみ試験的に1日3試合(午前と夕方)で実施されていた。

 同じく高校野球の取材経験があり、自身も高校球児として甲子園を目指したABEMA NEWSの辻歩キャスターも「観客の入れ替えなど、見る側は大変だろうなと感じるが、高校野球は教育であり、主役は選手。選手を守るために今の環境でできることを探したという意味では評価できるのではないか」と話した。

 また、日本高等学校野球連盟(高野連)が協議に入ったとしている「7イニング制」の導入について、辻キャスターは反対の立場を示し、「9イニングあれば全選手が最低でも3回打席が回るが、7イニングでは2回しか打席に立てない選手が出る可能性がある。これはちょっと少ない」と指摘した。

 石戸氏は「7イニング制が本当にいいことかは分からない」とした上で「試合時間を短くするという意味では、コールド制度(規定で定められた点差よりも広がって逆転することが困難となった場合に試合を途中で打ち切る制度)の導入を検討してもいいだろう」と付け加えた。

 同様に議論に上がる「甲子園球場以外での開催」については、石戸氏・辻キャスターともに否定的だ。

 石戸氏が「球児が受け入れないだろう。そもそも、同じ期間にプロ野球がドーム球場で行われている」と話せば、辻キャスターも「高校球児たちは小さい頃から『甲子園のあの黒土と芝生で野球がしたい』という夢のために厳しい練習に耐えてきている。甲子園で2、3時間試合するよりも厳しい練習を(暑さ対策しながら)普段から行っているのだ」と強調した。

 他にも、今大会で注目されている施策が「低反発バット」の導入だ。打球による負傷事故防止などを背景に2024年春のセンバツ甲子園大会から採用されたが、これが「1番の改革だった」と石戸氏は評価。これまで特に夏の甲子園は打者有利で「打高投低」傾向だったのが緩和され、投手が抑えやすくなったことで「複数投手制」のメリットが高まり、投手の負担も軽減されるという。

 石戸氏は「力のある背番号1をつけたエースピッチャーが1人で投げ抜くことで勝ち上がるのは一つのパターンだったが、今大会でも(決勝に進出した)関東第一高校はエースをリリーフ起用しているし、京都国際も複数の投手を使い分けている。これまで以上に投手の使い分け、継投が有利に働く傾向が強まると思う。投手の消耗を防ぐ上でも極めて重要」と効果について見解を述べた。

 これに対し、辻キャスターは「バッターがホームランを打つ楽しさを味わう機会は減った。低反発バットの基準が世界大会と同等であるという導入背景もあるが、全国約3700の高校全てが、甲子園に進出する超名門校の基準に合わせるべきなのか」と懸念点を述べた。

 石戸氏は「ピッチャーは投げて抑える楽しみを味わえるし、そのぶん(バッターにとっては)ヒットやホームランの価値は上がる。それはいいことでは」と補足した。

(『ABEMAヒルズ』より)