「警察官の行為一部違法、真摯に受け止め」ヤジ排除訴訟で警察庁長官

AI要約

2019年の参院選の街頭演説中にヤジを飛ばし、警察官に排除された男女2人が訴訟を起こし、最高裁が一部違法と判断したことについて警察庁が真摯に受け止める姿勢を示した。

最高裁の決定では、女性の排除が憲法で保障される表現の自由の侵害として違法と認定され、賠償を命じられた。一方、男性については適法とされた。

警察庁は選挙運動における警護について、状況に応じた難しい判断が必要であり、法令に基づいて適正に対応することを重視している。

「警察官の行為一部違法、真摯に受け止め」ヤジ排除訴訟で警察庁長官

 2019年の参院選の街頭演説中にヤジを飛ばし北海道警の警察官らに排除された男女2人が道を訴えた訴訟で、最高裁が一部を違法とする決定を出したことについて、警察庁の露木康浩長官は22日の定例記者会見で「警察官の行為が一部違法とされたことは警察庁としても真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べた。

 一、二審判決によると、2人は19年7月15日、JR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍晋三首相(当時)に「安倍やめろ」「増税反対」などとヤジを飛ばし、周囲にいた警察官らに肩や腕をつかまれて移動させられ、女性はその後長時間、警察官につきまとわれた。

 最高裁の決定で、女性の排除については憲法が保障する「表現の自由」の侵害と認めて違法とし、道に賠償を命じた二審判決が確定した。一方、男性については、二審判決が大声の連呼に立腹した聴衆とトラブルになる危険性があり、警察官の行為は適法と判断。最高裁は道と男性の双方の上告を退けた。

 露木長官は、選挙運動に伴う警護について「刻一刻と状況が変わる中で危険性を判断し、警護対象者と聴衆の安全確保に最も適切な措置をとることが必要で、極めて難しい判断が伴う」と説明。「法令に基づく適正な職務執行に努めるべきなのはもちろんだ」とし、主催者との連携や警護員の実践的訓練などを進める考えを述べた。(編集委員・吉田伸八)