警察当局で高まる大阪・関西万博の警備 喫緊のローンオフェンダー対策、安全神話継続を

AI要約

来年春に開催される大阪・関西万博に向けて、警察当局の緊張感が高まっている。開会式の日程が決まり、警備対策が急がれている。来場者数が2800万人を予想される大規模なイベントで、テロ対策が重要視されている。

過去の日本での万博開催の回数や来場者数を振り返りながら、大阪・関西万博の規模や種類について述べられている。警察関係者の力量が問われる国際的なイベントであることが強調されている。

最近のテロの傾向や動向についても触れられており、ローンオフェンダーの出現によりテロのフェーズが変わっていることが指摘されている。大規模イベントでのテロ計画の実例も紹介されている。

警察当局で高まる大阪・関西万博の警備 喫緊のローンオフェンダー対策、安全神話継続を

来年春に開催される大阪・関西万博に向けて、警察当局の緊張感が高まりつつある。事業費が当初の予定より膨らむなど批判もある中、開会式の日程も正式に決まった。半年間にわたって行われる国際イベントなだけに、警備の成功には関西の府県警にとどまらない、日本警察を挙げた対応が欠かせない。

■2800万人来場か

「国際的注目が集まる中、ローンオフェンダー(単独の攻撃者)やサイバー攻撃をはじめとするテロ対策を徹底する必要がある」

今年7月24日、警察庁の露木康浩長官は、同日設置された大阪・関西万博警備対策推進室会議の席でこう述べ、改めて現場に覚悟を促した。

日本では過去5回、万博が開催されている。

警察庁などによると、来場者数が最多だったのは1970(昭和45)年の大阪万博で、実に6421万人。次いで1990(平成2)年の大阪花博2312万人▽2005(平成17)年の愛知万博(愛・地球博)2204万人▽1985(昭和60)年のつくば科学万博2033万人▽1975(昭和50)年の沖縄海洋博349万人-と続く。

今回の大阪・関西万博では、来年4月13~10月13日の184日間に2800万人の来場者が見込まれている。半世紀前の大阪万博に次ぐ、規模の雑踏警備となる。

万博には、テーマが2つ以上の「登録博(条約改正前は一般博)」と、特定のテーマに絞られた「認定博(条約改正前は特別博)」がある。過去5回の日本開催の万博は大阪万博が一般博、愛知万博が登録博(認定博とする説もあり)、残る3つが特別博だった。

今回の大阪・関西万博は大規模博覧会に当たる登録博だが、警察関係者は「治安当局の力量が国際的に問われる点で、両者は全く変わりがない。大阪府警は3回目(の万博警備)で、高い経験値という優位性がある」と指摘する。

■日韓W杯でテロ計画

一方、別の警察関係者は、昨今の要人警護とテロ対策について「これまでは右翼や左翼といった思想や、宗教を背景とする政治犯が主流だったが、動機が不透明なローンオフェンダーの台頭でフェーズ(局面)が大きく変わっている」と解説する。

大規模イベントの機会をとらえてテロが計画されるケースは少なくない。2010年のサッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の開催中にはウガンダで決勝戦をテレビ観戦していた客らを狙った爆弾テロが発生し76人が死亡。13年には米国のボストンマラソンで爆弾テロがあり、3人が死亡した。