「市民攻撃する卑劣な行為」 市議から差別的言動と提訴の女性が陳述

AI要約

大阪府泉南市の添田詩織市議からヘイトスピーチを受けた在日コリアンの李香代さんが訴訟を起こし、第1回口頭弁論が行われた。

添田氏は差別的発言を否定し、原告についての言及は個人攻撃ではないと主張している。

李さんは顔写真を載せられ、誤った情報が拡散されたことで傷つき、ヘイトスピーチの深刻さを訴えている。

「市民攻撃する卑劣な行為」 市議から差別的言動と提訴の女性が陳述

 大阪府泉南市の添田詩織市議(35)=自民=からネット上でヘイトスピーチを受けたとして、在日コリアンの李香代さん(58)が添田氏に550万円の賠償と投稿削除を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪地裁(山本拓裁判長)であった。添田氏側は請求棄却を求めた。

 添田氏は出廷しなかった。原告側によると、添田氏側は提出書面で「差別的言動は一度もしていない」と反論。「市議会の公金支出の必要性を追及するなかで原告について言及した。根拠なく『差別主義者』と断定することは個人攻撃にあたり、名誉毀損(きそん)だ」としている。

 訴状によると、李さんが役員を務める大阪市のイベント会社が泉南市の事業を受けたところ、添田氏は同社代表が中国出身という点に触れて「中国共産党がバック」などと事実と異なる言及をした。同社が今年2月に提訴すると、添田氏はX(旧ツイッター)などで李さんに関する投稿も始めた。

 李さんの顔写真を載せ、「従兄弟(いとこ)は在日留学生捏造(ねつぞう)スパイ事件で死刑判決を受けた」などと書いた。だが、いとこの李哲(イチョル)さんは2015年に再審無罪が確定し、当時の韓国大統領から謝罪を受けた。

 原告側は「差別意識をあおり、一市民を攻撃する卑劣きわまりない行為だ」とし、原告の名誉権や肖像権を侵害し、社会的評価を低下させたと主張している。

 李さんは15日の意見陳述で「投稿後、深く傷つき、顔を出して歩くのが怖くなった。ヘイトスピーチはあってはならない」と訴えた。会見を開いた原告代理人の田中俊弁護士は「公人なら何を発言してもいいのか。どこかで歯止めをかけないといけない」と話した。(大滝哲彰)