四大公害病のイタイイタイ病、患者ゼロに 富山市の90代女性が死去

AI要約

富山県の神通川流域でイタイイタイ病の認定患者で唯一生存していた90代女性が亡くなった。

イタイイタイ病は神岡鉱山の排水内のカドミウムが原因で発症し、腎臓障害や骨の軟化などの被害を引き起こす。

被害者団体は、患者が全員亡くなったことを初めて報告し、将来の要観察者も増加している状況を指摘している。

四大公害病のイタイイタイ病、患者ゼロに 富山市の90代女性が死去

 富山県の神通川流域で発生した四大公害病の一つ、イタイイタイ病の認定患者で唯一生存していた富山市の90代女性が11日、亡くなった。被害者団体によると、県は1967年以降、201人の患者を認定してきたが、生存する患者がいなくなるのは初めてという。

 イタイイタイ病は、富山市を中心に流れる神通川上流の神岡鉱山(岐阜県)の排水内のカドミウムが原因となって引き起こされる。水や米を通して摂取した流域の住民が腎臓障害や骨の軟化などの被害を受けた。

 被害者団体のイタイイタイ病対策協議会によると、女性は入院先の病院で亡くなった。元会長の高木勲寛(くにひろ)さん(82)は数日前、女性の家族から「危篤です」と聞き、驚いたという。「患者認定にまで至らなくとも、患者になりうるため観察が必要な人やカドミウムによる腎障害に苦しむ人がおり、イタイイタイ病はまだ終わってはいない」と強調した。

 県は今月4日、患者の認定にかかわる審査会を開催。富山市の別の90代女性を前年に続き、将来の発症がありうる「要観察者」にあたるとした。要観察者はこれまでに345人にのぼり、うち生存者はこの女性1人という。(小西良昭)