誰も使ってないのに「マイナ保険証」が「強制導入」へ…国がゴリ押しする「医療DX」がもたらす最悪の事態

AI要約

新規の保険証がマイナンバーに紐づいた「マイナ保険証」へ移行することで、デジタル化が進むことが必要不可欠となるが、地方都市の医療機関への負担が大きい。

医療DX推進に伴い、セキュリティ管理やランサムウェア攻撃へのリスクが懸念されており、世界中の医療機関が影響を受けている。

過去の大規模なサイバー攻撃事例から、セキュリティの重要性が浮き彫りになっており、デジタル化によるリスク管理が急務となっている。

誰も使ってないのに「マイナ保険証」が「強制導入」へ…国がゴリ押しする「医療DX」がもたらす最悪の事態

今年12月から新規の保険証は発行されなくなり、マイナンバーに紐づいた保険証、いわゆる「マイナ保険証」へと移行する。それは必然的に病院や医師にデジタル化をうながすことになるが、高齢や資金難で対応できないケースもある。地方都市の医院や診療所においてはそれが顕著だ。前編記事『マイナ保険証で地方都市の医療は崩壊する…現役医師が実名で怒りの告発』より続いて、デジタル化に伴うサイバーセキュリティの問題についても考えてみよう。

国は「医療DX」の推進のため、すべて医療機関や薬局に、原則として昨年4月からオンライン化するよう求め、これを義務化してきた。これに従わないと、地方厚生局の集団指導の対象になり、最終的には保険医療機関の指定取り消しや保険医登録の取り消しもチラつかせ脅しをかけている。

こうしたネット環境の整備だけでも負担が大きい上に、将来的なランニングコストやセキュリティ管理の費用なども導入した医院がすべて負担しなくてはならない。

仮にセキュリティが完璧でないと、どこからウイルス攻撃を受けるかわからないし、一旦セキュリティに問題が発生したら責任を問われることになりかねない。

実は今、世界中の医療機関が、ランサムウェア(ネットによる身代金要求攻撃)の標的となっている。

6月には、ランサムウェア攻撃を受けたイギリスの国民保健サービス(NHS)が、患者データが乗っ取られただけでなく、血液検査に必要なシステムが利用できなくなり、契約している病院や一般開業医の予約や手術ができなくなった。

NHSは税金で運営されているの医療機関で、重篤な救急患者に対する救急医療の提供は、NHSでのみ行われている。

アメリカでも2月に、世界最大のヘルスケア企業であるユナイテッド・ヘルスの子会社・Optumが運営する、医療費の決済と保険金請求の管理を行うネットワークサービスが攻撃を受け、全米7万ヵ所の薬局の90%以上が電子請求の処理方法の変更を余儀なくされた。

同じく5月にも米国の大手医療法人アセンションがサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生している。アセンションは米19州で140の病院と40の老人介護施設を運営している非営利法人で、電子カルテや電話システムだけでなく検査や処置、医薬品の注文などに使っているシステムにも障害が起きている。これ以上の被害の拡大を防ぐためにコンピュータをダウンさせて紙の書類をバックアップ手段として使って診療を継続しているが、復旧までにはまだ時間がかかりそうだ。