〝大物知日派〟アーミテージ氏を自宅に招待 「安倍・トランプ会談」実現に一役買う 国際舞台駆けた外交官 大江博氏(16)

AI要約

大江博元駐イタリア大使が外交の舞台裏を語る。異色の外交官人生を振り返り、外交と学界との軋轢、東大の軍事研究禁止の原則、九州大との異なる対応などを語る。

駒場、本郷両キャンパスでの授業を巡る政治学と理科系の対立や軍事アレルギーについて取り上げる。

九州大からの依頼を受けた経緯や大学ごとの対応の違いに触れる。

〝大物知日派〟アーミテージ氏を自宅に招待 「安倍・トランプ会談」実現に一役買う 国際舞台駆けた外交官 大江博氏(16)

公に目にする記者会見の裏で、ときに一歩も譲れぬ駆け引きが繰り広げられる外交の世界。その舞台裏が語られる機会は少ない。ピアニスト、ワイン愛好家として知られ、各国に外交官として赴任した大江博・元駐イタリア大使に異色の外交官人生を振り返ってもらった。

■〝軍事アレルギー〟

《2009年からの防衛省出向時代、日本の学界に根付く〝軍事アレルギー〟を知ることになった》

05年から2年間、東大で教授をし、外務省に戻ってからも駒場、本郷両キャンパスで授業を続けていました。ところが09年に防衛省に出向した途端、駒場の事務局から「翌年から授業をお願いできなくなった」と言われたのです。

理由を聞くと、東大に「軍事研究禁止の原則」があり、防衛省の人間が講師を務めるのは不可能とのこと。これまでと同じ国際関係の授業をしているのに、「外務省の立場ならいいが、防衛省の立場ならダメ」という信じがたい話でした。こうして、駒場での授業に終止符が打たれました。

そうしたことに目くじらを立てるのは、政治学など文科系の教授ではなく、理科系の教授陣だそうです。彼らには、「科学・技術の知識が19~20世紀の日本の戦争遂行に寄与した」とのアレルギーが残っているそうです。彼らの先輩たちが「戦争に加担した」とのアレルギーはいまだに消えないのが実情のようです。

■〝開かれた〟本郷キャンパス

一方、本郷キャンパスでの授業は、その後も続きました。「軍事研究禁止の原則」は本来、東大全体の方針なのですが、教授会で私の授業を「例外」にすることを決定したそうです。その意味では、駒場より本郷キャンパスの方が多少、開かれています。

《さらに開けていると感じたのは九州大だったという》

05年からの東大教授時代、早稲田大や中央大、東京外国語大、九州大などでも非常勤講師をしていました。07年に外務省に戻ったとき、多忙になるとの理由で九州大の授業はいったん、お断りしていました。

しかし、九州大は新聞で私の防衛省出向を知り、「防衛省のポストで、これまでより時間があるなら、またお願いしたい」と依頼してきたのです。大学によってデコボコがありますね。