小沢一郎氏、立民代表選へ奔走も開けぬ展望 「数の力」持たず、剛腕に陰り

AI要約

小沢一郎衆院議員が立憲民主党の代表選準備を加速中で、有力者との会合を重ねている。

代表候補には泉健太代表や枝野幸男、野田佳彦らが名乗りを上げつつ、小沢氏率いる一清会が対応を決定。

小沢氏は泉氏への批判や他党議員との会食を繰り返しながら、代表選の主導権確保に向けて奔走している。

小沢一郎氏、立民代表選へ奔走も開けぬ展望 「数の力」持たず、剛腕に陰り

立憲民主党の小沢一郎衆院議員が党代表選を見据えた動きを加速させている。泉健太代表を厳しく批判して対抗馬擁立に動くと公言し、有力者との会合を重ねてきた。6日には、枝野幸男前代表、野田佳彦元首相ら党所属衆院議員6人の中から「意中の人」を決めると表明した。とはいえ、党内最大勢力を率いて政局を仕掛けてきた民主党時代のような影響力を発揮する環境にはなく、戦況を主導できるかは見通せない。

■グループは小沢氏に対応一任

代表選に向けては、泉氏が再選への意欲をにじませており、枝野氏も立候補を検討している。さらに、党内には野田氏らの出馬に期待する声もある。

小沢氏が率いる党内グループ「一清会」(約15人)は6日、国会内で会合を開き、代表選の対応を小沢氏に一任すると決めた。

会合後、小沢氏は記者団に、枝野、野田両氏と、馬淵澄夫、江田憲司、小川淳也、重徳和彦各衆院議員の名前を挙げ、この中から代表選で支援する人物を絞る考えを示した。時期については「盆明けには何らかの方向性を決めていかなくてはならない」と説明した。

過去2回の非自民政権樹立の立役者である小沢氏は、野党結集による政権奪取が持論だ。最近は、共闘を主導できていない泉氏に公然と退陣を求めており、6日も記者団に「協力がうまくいっていないというのでは困る」と強調した。

■野田氏、枝野氏らと会食も…

次期代表選に向けた小沢氏の動きは活発だ。7月は、民主政権時代に消費税増税を巡り決別した野田氏と19日に会食したほか、25日には、党内最大グループ「サンクチュアリ」(約30人)に影響力を持つ赤松広隆前衆院副議長と面会した。30日は枝野氏との会談に臨み、31日には再び野田氏と会食した。

もっとも、代表選立候補には国会議員20人の推薦人が必要で、一清会が単独で擁立することはできない。つまり、仮に小沢氏が担いだ人物が代表に就いたとしても、意向通りに動くとはかぎらないというわけだ。実際、小沢氏は前回代表選で泉氏を支援したが、その後の党役員人事を巡り距離が開いた経緯がある。

小沢氏は昨年末から経済政策などを巡って泉氏への批判を際立たせているが、執行部からは実質的に黙殺されてきた。往年の小沢氏が畏怖(いふ)の対象たりえたのは、数の力があったからこそだ。「剛腕」の異名が色あせていることは否定できない。(深津響)