〝どんな音色が響くかな〟三味線専用の絹糸「響明」開発 農研機構など

AI要約

強い絹糸を生み出す新品種「響明」を使用し、耐久性の高い三味線用の弦を開発成功。

開発された絹弦は切れやすい「三の糸」において、耐久性が従来の絹弦よりも3割以上も高かった。

「響明」は繭糸の強度と生糸収量性を兼ね備えた新品種で、新しい製品開発への期待も高まっている。

〝どんな音色が響くかな〟三味線専用の絹糸「響明」開発 農研機構など

 農研機構と、和楽器の弦を製造する丸三ハシモト(滋賀県長浜市)は5日、強い絹糸を生み出す蚕の新品種「響明」を使って、耐久性の高い三味線用の弦を作ることに成功したと発表した。絹の弦は美しい音色や余韻が特徴だが切れやすく、樹脂製の弦が使われることが多かった。今後、琴など他の楽器への利用も計画する。

 開発した絹弦は、三味線の3本の弦の中で、最も細く切れやすいとされる「三の糸」。弦をはじき続けて切れるまでの回数を調べる試験では、既存の絹弦に比べて3割以上、耐久性が高かった。プロ演奏家の官能評価では、弦がけば立ちにくく、音の大きさや余韻に優れるとした。

 同機構が育成した「響明」は、繭を作る繭糸(けんし)の強度と、生糸の収量性を両立した品種。「日137号」と「MC502」の交雑種に当たる。同機構は「既存のシルク製品だけでなく、強度を生かした新しい製品開発も期待できる」(生物機能利用研究部門)としている。