新田原基地騒音、二審も賠償命令 飛行差し止め認めず 福岡高裁支部

AI要約

周辺住民178人が航空自衛隊新田原基地の騒音で健康被害を受け、国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が福岡高裁であり、総額約2億2400万円の支払いが命じられた。

裁判長は航空機騒音基準を満たすエリアに住む原告に月額賠償金を認め、飛行差し止め請求は運航の公益性を理由に棄却された。

原告弁護団は賠償には満足しているが、飛行差し止めを求めて上告する方針を示した。

 航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)の騒音で健康被害を受けたとして、周辺住民178人が、国に夜間などの自衛隊機の飛行差し止めと損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2日、福岡高裁宮崎支部であり、西森政一裁判長は総額約2億2400万円の支払いを命じた。

 一審同様差し止めや将来分の賠償請求は認めなかった。

 西森裁判長は航空機騒音の基準「うるささ指数」(W値)が75以上のエリアに住む原告について、一審同様1カ月あたり4000~2万円の賠償を認めた。一審では2002年の騒音調査に基づく基準で、原告のうち6人が騒音エリア外とされたが、控訴審では別の評価基準により原告全員が認められた。

 一方で、飛行差し止めについては「運航には高度の公共性・公益性があり、防音工事助成など対策もなされている」と請求を棄却した。

 原告弁護団は「賠償に関しては評価するが、根本は飛行差し止めだ」とし、差し止め請求のみ上告する方針を示した。