台湾の女神、青森ねぶた祭に登場 大間の「天妃様」信仰がモチーフ

AI要約

青森ねぶた祭で海を守る女神「媽祖」のねぶたが登場する。

大海の守護神「天妃様」をテーマにした大型ねぶたの制作過程。

台湾からの参加者や専門家のコメントを交え、青森と台湾の文化交流の様子。

台湾の女神、青森ねぶた祭に登場 大間の「天妃様」信仰がモチーフ

 8月2日に始まる今年の「青森ねぶた祭」に、海を守る道教の女神「媽祖(まそ)」のねぶたが登場する。マグロ漁で知られる青森県大間町で、300年以上続く信仰から着想を得た。

 「難しい! 俺、化粧したことないもん」

 青森市の公園に立つ「ねぶた小屋」の一角。「ねぶた愛好会」のねぶた師、諏訪慎(まこと)さん(45)は、女性の大型ねぶたにほお紅を差していた。

 作品のテーマは「大海の守護神 天妃(てんぴ)様」で、「天妃様」は媽祖の別称。切れ長の目で、大きな髪飾りと鮮やかな着物をつけた女性が、2匹の鬼で脇を固め、ほほえんでいる。

 幅9㍍、高さ5㍍の大型ねぶたは、伝説や神話を基に作ることが多い。台湾出身で同市在住の会員が、大間町で「海の日」に行われる「天妃様行列」をモチーフに、提案した。

 台湾に帰省して集めた写真などを基に、諏訪さんが設計図の「下絵」を描いた。来年の青森港開港400周年を前に、海上安全の願いを込める。

 ねぶた製作が進む中、迎えた今年の「海の日」。大間町の街中や漁港では、大きな目や派手な衣装の着ぐるみが練り歩き、ドラや爆竹の爆音が響いた。その最後尾は、高さ約60㌢の媽祖像を乗せたみこしが飾っていた。

 台湾媽祖信仰の総本山「北港朝天宮」からも約40人が参加。一行に同行した台北芸術大学の林承緯特聘教授(民俗学)は「形式的な祭祀(さいし)でなく、祭りとして浸透している。自分たちの文化が、日本の小さな町で伝承されていることを、台湾人はうれしいと思うのでは」と話した。(林敏行)