自民総裁選、茂木敏充幹事長は「焦らず逆算」 出馬意欲も〝明智光秀〟批判を懸念

AI要約

茂木敏充幹事長が自民党総裁選への出馬を示唆するも、首相を裏切ることを恐れて慎重な姿勢を示している。

茂木氏は総裁選への意欲を示しつつも、首相の進退を見極めた上で出馬を決定する考え。

知名度や批判など課題もあるが、実務能力や経済交渉実績から期待される一方、幹事長として批判の声も上がっている。

自民総裁選、茂木敏充幹事長は「焦らず逆算」 出馬意欲も〝明智光秀〟批判を懸念

9月の自民党総裁選を巡り、同党の茂木敏充幹事長の動向が注目されている。茂木氏は総裁の座に意欲を示しているが、幹事長は岸田文雄首相(党総裁)を支える立場。首相に対抗する形で出馬し、裏切り者と批判される事態を懸念している。「夏の間によく考えたい」と語り、首相の進退を見極めた上で、9月上旬までに出馬するかどうかを決断する構えだ。

茂木氏は30日、幹事長に就任して1千日を迎えた。同日、自身のSNSに「この間、ずっと忙しい毎日」「国内出張は138回」と記し、選挙応援や講演などで全国各地を奔走してきたとアピールした。

「この国を変えていかなくてはいけない。そういった仕事は、いずれチャレンジしてみたい」。22日のBS日テレ番組では、改めて総裁選出馬への意欲を語った。一方で「(総裁選に)最初に手を挙げることは絶対ない」と強調し、首相の進退が明らかになるのを待つ考えを示した。

茂木氏は外相や党の政調会長、選対委員長などの要職を歴任し、実務能力の高さに定評がある。経済再生担当相時代に臨んだ日米貿易協定の交渉では、当時のトランプ米大統領から「タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と評された。トランプ氏が大統領に返り咲く可能性がある中、このエピソードを好んで披露している。周辺は「米大統領選の行方も考えると茂木氏が最も適任ではないか」と持ち上げる。

自身が会長を務めていた茂木派(平成研究会)は解散を決めたが、衆参の若手が定期的に会合を開いており、同派中堅は「40人程度は固まっている。いつでも(総裁選に向け)動ける」と自信を深めている。

ただし課題は多い。

まず知名度不足だ。7月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、「次の総裁にふさわしい人物」に茂木氏を選んだ人は0・9%にとどまった。派閥パーティー収入不記載事件による逆風を受け、党内では「選挙の顔」となれる知名度の高い次期総裁を望む声が強い。

幹事長としての働きぶりに対する批判もある。不記載事件を受けた議員処分や政治資金規正法改正では指導力を発揮せず、首相が矢面に立って批判を浴びた。石破茂元幹事長は17日のインターネット番組で「党務を仕切るのは幹事長だ。総理・総裁に責任が及ばないよう火の粉を浴びるのが仕事だと私は教わってきた」と茂木氏に苦言を呈した。