自民、国会機能維持の改憲で8月2日の大筋合意目指す 緊急政令と自衛隊明記の必要性共有

AI要約

自民党は憲法改正実現に向けた議論を進めており、国会機能維持や緊急事態下の対応に焦点を当てている。

衆参両院の意見集約を図るワーキングチームで、任期特例や被害程度に応じた緊急対応の条件を検討している。

憲法改正に向けて自民党は慎重に進めつつ、緊急政令や自衛隊明記に関する改憲案の条文化も進めている。

自民、国会機能維持の改憲で8月2日の大筋合意目指す 緊急政令と自衛隊明記の必要性共有

自民党は29日、憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)に設けた衆参両院間の意見集約を図るワーキングチーム(WT)の第4回会合を開き、緊急事態下での国会機能維持のための改憲について議論した。8月2日のWTで大筋合意を目指す。一方、自民として緊急時に内閣が法律に代わり発出できる緊急政令と、自衛隊明記に関する改憲案の条文化と国会提出も目指す方針を改めて確認した。

■任期特例、被害程度が条件

国会機能維持を巡っては、衆院側が選挙困難事態下での議員任期延長や議員権能の復活を可能にする憲法改正を主張している。参院側は衆院解散後に参院が国会機能を代行する現行憲法の「参院の緊急集会」の役割を重視しており、これまでの議論では任期延長見直し論も浮上した。

溝の深さを受け、水面下で衆院側の加藤勝信事務総長と参院側の岡田直樹事務総長代行が休日返上で対応を協議。論点は主に①参院の緊急集会と任期特例の適用対象②衆院解散後の衆院議員の権能復活の是非-に絞られつつある。

衆院側は任期特例が適用されるケースとして、被害の広範性と長期性を重視。関係者は「選挙の一体性が広範囲で害され、かつ、70日以上の長期にわたり解決が見込めない場合」と解説する。この条件に該当しない場合は参院の緊急集会で対応する。また、権能の復活は、解散後にトラブルが発生した場合、議員の身分を回復させて対処させる狙いがある。

■論点一つの発議にならず

衆参両院議員を存続させることが必要なほどの緊急事態に関しては党内で、参院選に合わせて衆院選を行う衆参同日選(ダブル選)下の戦争や感染症の世界的大流行(パンデミック)などが想定されている。

古屋氏はWT終了後、記者団に「かなり合意に向けて考え方のコンセンサスが得られつつある。(8月2日のWTで)衆参の考え方を取りまとめていきたい」と説明した。大筋合意に至れば8月上旬の改憲本部の全体会合に岸田文雄首相(自民総裁)が出席し、憲法改正への取り組みを指示する方向だ。

国会機能維持と緊急政令、自衛隊明記の憲法改正について自民は同時期の発議を検討している。参院自民関係者は「任期延長みたいな針の先の先ですくうような論点一本で憲法改正の発議をしようなんてことにはならない」との見方を示した。(内藤慎二、末崎慎太郎)