死亡した2歳娘への「虐待」疑われ5年半“勾留”されていた父親が保釈へ 一審は懲役12年の実刑…二審判決を目前に大阪高裁が超異例の判断「今西事件」

AI要約

2017年12月、大阪で起きた2歳娘への傷害致死事件に関する異例の保釈決定。今西被告は無実を訴え、事件の真相を究明しようとしていた。

事件の経緯や逮捕後の追起訴、裁判を通じて今西被告が無実を主張する姿勢について。揺さぶられっ子症候群の刑事裁判での無罪判決が影響を与えている。

検察の乳幼児虐待事件への取り組みや今西事件への力の入れ方について。大阪高裁の異例の保釈決定の背景に迫る。

死亡した2歳娘への「虐待」疑われ5年半“勾留”されていた父親が保釈へ 一審は懲役12年の実刑…二審判決を目前に大阪高裁が超異例の判断「今西事件」

前代未聞の保釈決定が出た。2歳娘への傷害致死罪などに問われ、一審で懲役12年の実刑判決を受け、2審判決を目前に控えていた今西貴大被告(35)。 5年半を超えていた大阪拘置所での勾留が判決を前に終わることになった。

なぜ大阪高裁は異例の決定に踏み切ったのか。その背景に迫る。

事件の発端は、2017年12月16日。大阪市東淀川区の自宅で今西被告と一緒にいた当時2歳4か月の義理の娘・希愛(のあ)ちゃんが、「心肺停止」の状態で救急搬送される。

「『うっ』となって、息してないです。早く来てください!」 今西被告は119番通報の際、慌てた様子でこう説明していた。

病院に運ばれた希愛ちゃんは、約30分後に心肺が蘇生したものの、意識が戻ることはなく、7日後に死亡した頭部や体に目立ったけがはなかったが、CT画像で頭の中での出血等が確認された。そこから、病院の医師は虐待を疑い、警察に通報する。

2018年11月、今西被告は大阪府警に殺人の疑いで逮捕され、傷害致死罪で起訴された。約1カ月後に保釈された際、今西被告は会見を開いて無実を訴える。

今西貴大被告:すごく愛情かけて育てていたのに、いきなり逮捕されて『お前がやったんやろ、何かやったんやろ』と言われて、すごく悔しいです。

しかし、会見の直後、今西被告は再逮捕される。

大阪地検は、肛門付近の(時計の)12時方向にある約1センチの傷に対する強制わいせつ致傷罪と、1カ月前の左足の骨折に対する傷害罪で追起訴。 今西被告は3つの罪に問われることになり、全ての罪を否認した。

今西被告は、拘置所の接見室で裁判を前にした心境を次のように語っていた。

今西貴大被告:希愛はめちゃくちゃなついてくれていたし、本当にかわいかったです。とにかく、なぜ希愛が亡くなったのかを解明したいんです。それに付随して、自分の無実も証明できればいいというのが率直な気持ちです。

2018年以降、「揺さぶられっ子症候群」の医学的根拠が問われる刑事裁判で、無罪判決が続出していた。乳幼児虐待事件の捜査の在り方について見直しを迫られた検察は、この今西事件に並々ならぬ力を注いでいた。