奈良公園の鹿「傷つければ罰せられることも」警察や愛護団体呼びかけ

AI要約

奈良公園の鹿への暴力を防ぐため、奈良県警や県、奈良の鹿愛護会が呼びかけを行った。SNSで鹿への暴力が拡散し、警察による保護要請が増加している。

奈良署の警察官や愛護会の職員らが鹿を大切にするよう呼びかけを行い、注意事項を配布。鹿を傷つける行為は文化財保護法違反になる可能性がある。

観光客も含めてルールを守る必要性が強調され、愛護会は鹿に思いやりを持って公園を訪れるようPR活動を行う意向。

奈良公園の鹿「傷つければ罰せられることも」警察や愛護団体呼びかけ

 奈良公園の鹿への暴力を防ごうと、奈良県警や県、一般財団法人の「奈良の鹿愛護会」などが25日、奈良市内の公園周辺で「鹿を傷つける行為は法律で罰せられる可能性があります」などと呼びかけた。

 SNSで鹿を蹴り上げる人の動画が拡散しており、警察に「鹿を守ってほしい」との声が届いているという。

 この日、奈良署の警察官や県職員、愛護会の職員ら約50人は「鹿はここで生活しています。大切にしましょう」などと拡声機を使って呼びかけつつ、注意事項などが書かれたチラシを配った。海外からの観光客にも伝わるよう、英語と中国語でも呼びかけた。

 国の天然記念物に指定されている奈良公園内の鹿を傷つければ、文化財保護法違反に問われる可能性がある。

 2021年には、公園内の鹿をおののようなもので死なせた男性が、同法違反罪で懲役10カ月執行猶予3年の有罪判決を受けている。同法違反の罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金とされている。

 SNS上に拡散している動画には、白いTシャツを着た人が公園の鹿を蹴り上げたり、頭をたたいたりする様子が映っている。署にはこれまでにも多ければ月に数回、「鹿に乗っている観光客がいる」「鹿せんべい以外の餌をあげている」などといった指摘の声が届いていたが、この動画が拡散した後はさらに増えているという。

 豪州から公園を観光に訪れたミッシュ・ステラさん(35)は、「鹿を蹴ることは良くないこと。観光客はルールをしっかりと守らないといけないと思う」と話した。

 愛護会の山崎伸幸事務局長は「鹿への思いやりを持って公園に来てもらえるように、PRしていくことが大切」と語った。(仙道洸)