日中「戦略敵互恵関係」の実行で一致 自民・森山裕氏、北京で中国の王毅外相と会談

AI要約

自民党の森山裕総務会長が中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、昨年の合意を実行に移すことが重要だとの認識で一致した。王氏は台湾問題や福島第1原発処理水の海洋放出についても協力を求めた。

森山氏は日本産牛肉の対中輸出再開に協力を求め、日中友好議員連盟の二階俊博会長の訪中に期待が伝えられた。日中関係の安定化に対話の重要性を強調した。

海江田万里衆院副議長も趙楽際全人代常務委員長と会談し、議員間の交流の重要性を指摘。東アジアの状況の危機感を緩和するための議論が必要であると述べた。

【北京=三塚聖平】中国を訪問している自民党の森山裕総務会長は23日、王毅(おう・き)共産党政治局員兼外相と北京の釣魚台迎賓館で会談した。同席者によると、日中首脳が昨年11月に合意した「戦略的互恵関係の包括的な推進」を実行に移すことが重要だとの認識で一致した。

王氏は、台湾問題に関する日本の国会議員の動きについて、森山氏に「善処」を求めた。5月に行われた台湾の頼清徳総統の就任式に日本の国会議員が多数参加したことを念頭に置いた発言とみられる。王氏は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に関しても、「早期解決に向けた善処」で森山氏に支援を求めた。

森山氏は、日本産牛肉の対中輸出再開に関する協力を求めたほか、超党派の日中友好議員連盟の二階俊博会長の書簡を王氏に渡した。王氏からは「二階氏の訪中を期待している」との発言があったという。

森山氏は会談後、北京で記者団に対し、「日中関係を安定の軌道に戻すには首脳間で再確認した戦略的互恵関係を具体化していくことが重要であると強く感じた。そのために必要なのは対話を積み重ねていくことだ」と述べた。

22日には海江田万里衆院副議長が北京で、共産党序列3位の趙楽際(ちょう・らくさい)・全国人民代表大会(全人代)常務委員長と会談した。海江田氏は会談後に記者団に対し、日中間の議員交流について「少しは交流の機運が出てきた」と指摘。その上で「東アジアの状況はかなり危機的な状況だと思っており、そういう時にちゃんと議論することは大切だ」との考えを示した。