奈良県立大、寄贈された植物標本1万点を誤廃棄 「県内絶滅種」含む

AI要約

奈良県および県立大学が昨年誤って廃棄した植物標本について明らかにした。

廃棄された標本には現在絶滅したとされる植物も含まれており、研究者らが大きな損失として抗議している。

大学の建物の取り壊し時に標本が所有者不明の荷物として扱われ、誰も引き取らなかったことが廃棄の原因だった。

奈良県立大、寄贈された植物標本1万点を誤廃棄 「県内絶滅種」含む

 奈良県と同県立大学は22日、主に県内で採取され、寄贈を受けた約1万点の植物標本を昨年10月に誤って廃棄したと明らかにした。研究者らでつくる「奈良植物研究会」によると、今は県内で絶滅したとされる種も含まれていたという。

 同大によると、廃棄されたのは県内の植物研究家の岩田重夫氏(1916~1988)が1950~80年代に採集した標本。岩田氏が亡くなった後に同研究会が預かり、2001年から同大が保管していた。

 大学の建物の取り壊しの際に、所有者がわからない荷物として学内で引き取りが呼びかけられ、誰も応じなかったために廃棄されたという。尾久土(おきゅうど)正己学長は、担当者は古新聞に植物が挟まっていると認識していたが、価値がわからなかったと説明した。

 同研究会によると、同県天川村で採集されたミヤマホツツジなど現在はその土地で確認できなくなった植物や、県レッドリストで「絶滅」とされた種も含まれるという。

 同研究会は22日、県に「県、ひいては日本の植物学における大きな損失」と抗議し、それまでの保管状況などを明らかにするよう求める要望書を提出した。(机美鈴)