新たな救済策を協議へ 伊藤環境相が新潟水俣病患者らとの懇談で意向

AI要約

伊藤信太郎環境相と新潟水俣病患者らの団体が懇談を行い、新たな救済策の検討に意向を示す

新潟水俣病患者らが国と企業に損害賠償を求める訴訟が続いており、早期救済を求める声が高まっている

伊藤環境相は被害地域住民への健康調査検討を約束せず、懇談後に旧昭和電工の工場を訪れる

新たな救済策を協議へ 伊藤環境相が新潟水俣病患者らとの懇談で意向

 伊藤信太郎環境相と、新潟水俣病患者らでつくる団体の懇談が17日、新潟市内であった。伊藤氏は、団体側が求めた未認定患者らに対する新たな救済策の検討を議題に含める実務者協議を、8月にも始めたいとの意向を示した。

 新潟水俣病の患者認定や救済は、公害健康被害補償法などに基づき進められてきた。ただ従来の枠組みで救済されなかった人たちが、国と原因企業の旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償を求める訴訟が現在も続いている。団体側は原告の高齢化が進んでいるとして、新たな枠組みなどによる早期救済を国に強く求めていた。

 懇談は、熊本の水俣病患者らの団体との懇談で起きた「マイクオフ」問題をめぐり、新潟の団体が伊藤氏に申し入れて実現した。環境相と新潟水俣病患者らの団体との懇談は2015年以来、9年ぶり。同様の懇談は18日にも、新潟市内で予定されている。

 17日の懇談は新潟水俣病被害者の会、新潟水俣病阿賀野患者会、新潟水俣病共闘会議の3団体が参加。伊藤氏は、熊本での懇談で環境省職員がマイクを切って患者らの発言を遮った対応について「改めて深くおわびする」と謝罪した。一方、団体側が求める被害の広がった地域の住民に対する健康調査については「今後検討する」と述べるにとどまった。伊藤氏は懇談後、旧昭和電工の工場などを視察した。

 環境相との懇談は、2015年にあった新潟水俣病公式確認50年の式典後に、当時の望月義夫環境相との懇談の場が設けられて以来となる。(山崎靖)