学習用端末が収集した児童・生徒情報の管理、全国調査を開始…文科省が適正化促す

AI要約

文部科学省が学習用端末で収集される小中学生の個人情報管理に関する実態調査を始めた。

一部自治体で個人情報が不適切に管理されている可能性があり、適正な管理の徹底を促す。

リクルートが取得した個人データなどの問題が浮上し、文科省が慎重な対応を求めている。

 学習用端末で収集される小中学生の個人情報が一部自治体で不適切に管理されている可能性のある問題で、文部科学省は16日、全国自治体を対象に実態調査を始めた。個人情報の取り扱い状況を把握し、適正な管理の徹底を促す。

 文科省は「GIGAスクール構想」により小中学生に1人1台配備した学習用端末を通じた子供の氏名や学習履歴などの取得・管理を、自治体が主体となって行うべきだとの立場だ。だが一部の自治体で、端末に学習アプリ「スタディサプリ」を提供する「リクルート」(東京)に個人情報を直接取得・管理させていることが読売新聞の取材で明らかになっている。同社が取得した個人データは、一般向けに販売している同アプリの機能改善にも使われていた。

 実態調査は都道府県と政令市、市区町村の約1800教育委員会に対して実施。アプリを通じた個人情報の取得・管理を、「教委・学校」「民間事業者」のどちらが担っているか回答させる。委託先となっている民間事業者を含め、個人情報を海外で取り扱っているかどうかを確かめているかも問う。

 文科省は、海外での情報保管は「日本の法令が適用されない場合がある」として、自治体に対し慎重な対応を求めている。リクルートが取得した個人データの一部は、保護者に十分な説明のないまま13か国・地域のいずれかの事業者などに委託されていた。

 文科省の実態調査についてリクルートは16日、読売新聞の取材に「コメントする立場にはないが、今後も児童・生徒にとってより良い教育環境の実現に取り組む」と答えた。

 学習用端末から収集される個人情報を巡っては、改正個人情報保護法(昨年4月施行)で義務付けられた利用目的の特定や明示をしていない自治体が一部あることも本紙報道で判明している。実態調査では、こうした問題も含め、個人情報の取得や利用、提供、保管など一連の対応を確認する。

 文科省は年内に結果を取りまとめ、公表する予定。