“壊さず”引っ越し 老舗醤油メーカー150トン白壁倉庫 伝統工法「曳家」ロープでゆっくりと…地元愛深めた一日

AI要約

唐津市の老舗醤油メーカー「宮島醤油」の白壁倉庫を伝統工法「曳家」で引っ越し。地元住民の協力で熱気と祭りのような雰囲気で作業が進行。

引っ越し作業は3週間の準備期間を経て、2024年6月30日に行われた。建物の移動距離は約20m。

職人たちと地元住民の協力により、150トンの倉庫を慎重に移動させる作業が行われ、伝統工法の難しさと面白さが浮かび上がる。

“壊さず”引っ越し 老舗醤油メーカー150トン白壁倉庫 伝統工法「曳家」ロープでゆっくりと…地元愛深めた一日

老舗醤油メーカーの「白壁倉庫」を住民らがロープでゆっくりと引っ張っていく。建物を解体せずにそのままの状態で動かす伝統工法「曳家」による引っ越しは、祭りのような熱気と地元愛に包まれていた。

「曳家(ひきや)」という伝統工法を使って引っ越しが行われたのは、佐賀・唐津市の老舗醤油メーカー「宮島醤油」の白壁倉庫。1930年に建てられた宮島醤油のシンボルともいえる存在で地元の住民にも親しまれている。

宮島醤油では2023年8月、新たな工場が完成。このため「白壁倉庫」を他の場所に移設し、その跡地を、商品を運搬するトラックなどが作業する場所として活用することになったのだ。

そして引っ越しのために使われることになったのが、「曳家」という建物を壊さずにそのままの状態で移動させる伝統の工法だ。

引っ越し先は、道路を挟んだ反対側。距離は約20m。

約3週間の準備期間を経て2024年6月30日、「曳家」による引っ越しが行われた。

引っ越し作業は、佐賀・武雄市の建設会社が協力して行われた。また、宮島醤油の従業員だけでなく、地域の住民も参加。

続々と人が集まり、大勢の人が伝統工法「曳家」による引っ越し作業が始まるのを待つ。「唐津くんち」の囃子を奏でる子供たちの姿も。

大勢の人が見守る中、まるで祭りのような熱気に包まれながら「白壁倉庫」の“引っ越し”が始まった。

「白壁倉庫」は推定150トン。

下に敷いたレールに倉庫を乗せ、ロープでゆっくり引っ張っていく。地元住民たちがロープを引く姿が「唐津くんち」の光景に重なる。

もちろん人の力だけでは簡単には動かない。倉庫の背後からは職人たちが声をかけ合い専用の機器で文字通り”後押し”する。

数センチずつ動かしては各レーンの進み具合を確認し調整する職人たちの技も見事だ。協力した佐賀・武雄市の建設会社の社長は、「重量がすごくある。ちょっと傾きがあったり、下が壊れていたり、腐っていたり、最近の建物と違う」と伝統工法の難しさを語る。

その一方で、「今まで向こうにあった建物が今度こっちに来る。おもしろい」と笑顔を見せていた。